で、その企画書は、当時KFCの社長だった
大河原氏(直営第1号店店長)と三菱商事の外食サービス事業ユニットだった
新浪氏(現_サントリーホールディングス社長)の評価を受けて、プロジェクトが開始、1年半かけて60種類もの試作品を作った後、1999年に開業したてだった東京・お台場ヴィーナスフォートに「Soup Stock Tokyo」1号店がオープン、成功させています。ここら辺の経緯やその後のMBO等に至る経緯も面白いのですが、こちらは遠山氏の
著作「スープで、いきます」や「成功することを決めた」などに詳しいので、ここではこれ以上は触れませんが、興味がある方は読まれると面白いと思います。
ちなみに、上記で登場した
三菱商事と日本KFCですが、先月三菱商事が株式を売却し、出資比率を65%から37%に引き下げました。理由としては、
コンビニチキン等にも侵食されている
ケンタッキーの販売不振解決の為の経営判断のスピードアップ、
伊藤忠に迫られている三菱商事のキャッシュフロー確保等が挙げられています。 しかし、もし遠山氏の出向先が恵比寿本社のKFCでなかったら、上記のペルソナマーケティングも、恵比寿勤務の秘書室の女性「秋野つゆ(37)」お気に入りは「Soup Stock」ではなく例えば、渋谷勤務のキラキラ営業女子「夏野薫(26)」お昼は立ったままいきなり食べるステーキ「NikuToMeshi」とかになっていた可能性もあるかもしれません(笑)。そう考えると、「Soup Stock Tokyo」が新しいファーストフードの形態として、世の中で受け入れられている一方で時代の流れを感じるニュースではありますね。
第16期決算公告 12月8日企業サイト/6月18日官報より
【売上高】84億5300万円〈
http://www.smiles.co.jp/company/〉
【当期純利益】5900万円(前年比△58%)
【利益剰余金】6億900万円
過去の決算情報など、その他企業情報まとめ
さて、そんな「Soup Stock Tokyo」ですが、スマイルズは最近、新設分割(子会社化)を発表しました。また、直近のスマイルズの決算では
純利益が半減しています。しかし、直近の売上は84億円あり「Soup Stock Tokyo」も
1店舗1億円あるとされる売上に陰りは無さそうです。
一方で、かなり
大胆な3カ年計画を立てて社内外の
新規投資に積極的に取り組んでいること、「Soup Stock Tokyo」自体も完全黒字化には
時間がかかったこと、スマイルズを典型的な
持ち株会社にはする気がない等の情報を見ていると、今後もキャッシュフローを挑戦的な新規投資にも積極的に回す、しかし現段階では会社全体への影響が大きくなった「Soup Stock Tokyo」含め、その紐付けはきちんと行っていく、これまでの沿革を見ているとそんな印象を抱きます。
何にしろ、効率重視の勝ちパターンに偏りがちな最近のベンチャーの中で、ユニークな事業をやりつつビジネスとしても成り立たせることに挑戦し続ける「Smiles:」の「:」以下がどんどん増えていくことに期待したいですね。
※決算数字の留意事項
基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。
【平野健児(ひらのけんじ)】
1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『
SiteStock』や無料家計簿アプリ『
ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『
NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。