FA交渉やトレード、果てはMLB関連業界への就活まで!メジャーリーグの巨大ビジネス市が凄い

水次祥子
 年に一度の米国野球の祭典といえば、8月のオールスターゲームでもなく10月のプレーオフでもなく、真冬の12月に行われるこのコンベンションかもしれない。

 野球のすべてが集結した「ベースボール・ウインターミーティング」が12月7日~10日、米国テネシー州ナッシュビルのゲイロード・オプリランド・リゾートで行われた。この施設はコンベンションセンターとレストラン、バー、娯楽、ホテルが併設された巨大複合施設で、体感ではざっと東京ドームの3倍はあるのではないかという広大な場所だ。何せ空港からホテルのフロントに到着し、チェックインを済ませると地図を手渡されるのだが、その地図を持っていても部屋に着くまでに1時間近くに迷ったくらいである。

野球関係の就活の場としても機能

 ウインターミーティングといえばMLBの球団が参加し、選手のトレードやFA選手の獲得交渉が行われることで日本でも知られており、今年は広島カープからポスティングシステムでメジャー移籍を目指す前田健太投手の動向が注目されている。しかしウインターミーティングの中で、それはほんのごく一部。報道されている以外のこのイベントのケタ外れの大さには度肝を抜かされた。

連日スケジュールがびっしりのジョブフェア

 まず152の宴会場のほとんどを貸し切って行われている野球関係のセミナーとジョブフェアの多様性がすごい。野球関連の業界で仕事をしたいという人々が就活を行える場が提供されており、そうした参加者であふれている。就活セミナーや業種セミナーも連日、多数のプログラムが組まれ、例えば「セールス・マーケティング」「ライセンス契約とグッズ販売」「コミュニティとメディア・リレーションズ」「球団運営」などのセミナーがある。

 球団運営セミナーでは「ドローン等の無人飛行システムが野球に与える影響を考える」、「ソーシャルメディアによる野球の宣伝戦略と効果的手法」、「フォロワー増を目指すだけではない、SNSの正しい使い方」……といった最先端の興味深い講座が開かれていた。

 例えばドローンについては、米国の球場でも突然、無許可で侵入され騒ぎになることがあるのだが、そのようなケースで球団はどう対処すべきかといったノウハウや、逆にドローンを使ってプロモーションを行うにはどうすればいいかといった非常に細かいテーマに絞られた内容になっていた。

球団運営のセミナーなども多数開催

 セールス・マーケティングのセミナーでは「データ・サイエンスと上級分析力向上講座」、「収益を上げるための方法論」といった野球以外のビジネスでも役立ちそうな講座や「野球とは無関係のイベントを球場内で行うことによって収益アップを図る方法」、「収益を上げるための球場運営の方法」といった野球に関したより実戦的な内容も豊富。

 こうした多彩で豊富なセミナーに加え、ジョブフェアではメジャー、マイナー、独立リーグなどの球団関係者と直接会い、名刺交換をすることもでき「野球にかかわる仕事がしたい」と希望を持った若者たちであふれていた。またコンベンションセンターの大展示場では野球関連見本市が行われ、野球用品ブランドの新製品からベースボールカード、最先端の球場用人工芝までさまざまな展示を見学、体感することができる。

MLBの人気を支える層の強さを垣間見た

 メジャーリーグファンも、もちろん多数訪れていた。コンベンションセンターのホールではMLB専門テレビ局のMLBネットワークがスタジオセットを設置して公開放送を行っており、スタジオには各球団の監督やGMらがゲストで登場する。そのスタジオセットの前は、サインをもらおうと待ち構えている人々でごった返していた。期間中に訪れる人々は何千人単位といわれ、世界中から参加者が集まる。ビジネスとベースボールに興味のある人にとっては、最高に充実した4日間が過ごせるコンベンションなのは間違いない。<取材・文・撮影/水次祥子>

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