格差拡大中の日本は対応できるか!? 国連「持続可能な開発目標」

斉藤円華
 貧困の解消や男女平等などに加え、格差対策や環境保護、誰でも法律の恩恵を受けられることなどを目標とする世界的な指針「持続可能な開発目標(SDGs)」が今年9月、国連で全会一致により採択された。対象には先進国も含まれ、格差拡大が指摘される日本にとっても他人事ではない。

「先進国の問題」として新たな達成目標を設定

「持続可能な開発目標(SDGs)」で設定された17の目標(「THE GLOBAL GOALS」のサイトより)

 SDGsは、2000年に策定された「国連ミレニアム開発目標」(MDGs)に代わる、新たな開発目標だ。MDGsは主に途上国が対象で、貧困の解消や女性の地位向上、初等教育の普及など8分野の目標を掲げる。同目標の達成期限は今年2015年だが、これまでに極度の貧困の減少、小学校の就学率が男女でほぼ同じになる、などの成果を挙げた。

 ところが世界では、気候変動や生物多様性の喪失、格差拡大といった問題が深刻化している。これらはMDGsで網羅されていない。そこで、SDGsでは「持続可能なエネルギー利用」「不平等の緩和」「持続可能な都市とコミュニティ」「気候変動対策」「生物多様性保全」「平和と正義」などが新たに盛り込まれることとなった。目標は17分野に増え、取り組みの対象分野は169項目にも及ぶ

 日本は従来、途上国支援で存在感を示してきたが、SDGsは先進国も対象となる。それでは、SDGsを通じて日本が特に向き合うべき課題とは何か? 

 MDGsの達成に向け活動を行うNGOなどのネットワーク、「動く→動かす」事務局長の稲場雅紀さんはこう指摘する。

「大きく4つあると思います。まず1つは格差解消で、相対的貧困率の削減が目指されます。次いで持続可能なエネルギー利用、これはいわゆる『再エネシフト』の推進ですね。

 次に、持続可能な生産と消費の実現。技術革新などを踏まえた経済設計を通じて、今日の大量生産・大量消費型の経済システムからどう移行できるかが課題です。これからの経済や産業、企業の在り方自体が問われる課題です。

 そして、平和、民主主義、公正で効率的かつ透明な行政機構をつくること、公平な司法サービスに誰もがアクセスできることなど、政治や行政のあり方にかかわる課題です。日本でも、安保法制を巡って『立憲主義』が問われたことを考えれば、私たちの社会にとっても大事な目標だと思います」(稲場さん)

日本は目標を達成できるか

 ところがSDGsには法的拘束力がない。お題目で終わらせないためには「目標達成に向けた国内体制づくりが求められる」と稲場さんは指摘する。

「SDGsの各項目について、各国は国際的なフォローアップとレビューの枠組みとして国連の『ハイレベル政治フォーラム(HLPF)』を通じて達成度を評価することになっています。それに向けて日本も評価に値する政策を整える必要があります」(稲場さん)

 さらにSDGsの達成に向けては、政府・行政だけでなく住民・企業・NGOなど、多様な主体が参加することが重視される。

 例えば、ブラック企業やブラックバイトの問題は、労使双方に労働法の知識が大きく不足していることも原因だ。労働法の遵守に向け行政が取り組みを強化し、さらに企業や従業員が行動を起こすことも、SDGsの達成に貢献する身近な取り組みの一つといえるだろう。

<取材・文/斉藤円華>

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