郵政は買いか?上場で儲かる株9選

日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命が11月4日、東証1部に新規上場する。1.4兆円もの巨額売り出し、主幹事証券11社、引受証券61社、日本初の親子同時上場など、官民挙げての超大型IPOとなる。郵政上場で利益を上げるトレード方法、儲かる銘柄を聞いた

超大型IPOに便乗して利益を上げろ!

日本郵政

日本郵政HPより

「7勝1敗です」――。銀行系証券の営業マンが教えてくれた、郵政3銘柄の鉄板セールストークだ。政府系企業の民営化に伴う新規上場は’87年のNTTから’04年の国際石油開発まで8件あり、公募価格が初値を上回ったのは7件。過去のパターンを踏襲すれば、公募で買って上場初日に売れば、かなりの高確率で利益を生むだろう。そして、「上場後でもチャンスはある」と株式ジャーナリストの大神田貴文氏は話す。 「上場前に投資家の需要を募る『ブックビルディング』の申し込みが発行予定株数を超過しました。3銘柄とも配当利回りが年3%を超える見通しで、高配当かつ倒産リスクの小さい株が欲しい個人投資家のニーズに合っています」  証券関係者によると、かんぽ生命が断トツの人気で、ゆうちょ銀行、日本郵政が後に続くという。 「かんぽ生命は、1300万円までという保険加入額の上限規制が規制緩和で撤廃されれば、販売力が強く、国内生保を圧倒する可能性がある。成長性と高配当の両方を兼ね備えている点が高い前評判に繋がっています」(大神田氏)  前人気が高いかんぽ生命は初値が公募価格を大きく上回る可能性が高い。「その場合、かんぽ生命の株価は上場直後の乱高下が予想されます。となれば、デイトレードやスキャルピング向きの銘柄になるかもしれません」と話すのは、資産6億円を保有するスゴ腕個人投資家のテスタ氏だ。  大神田氏もこう指摘する。 「上場初日はディーリングを自粛する証券会社がありますし、コンピュータで自動売買するHFT(高頻度取引)業者もプログラムを組むための過去データがないため取引を見送り、結果としてデイトレーダーの独壇場になる可能性があります」
郵政上場

持ち株会社の日本郵政と、傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命が同時上場する。日本郵便は非上場。当期の純利益4826億円のうち、76%がゆうちょ銀行がたたき出した

不人気の日本郵政でも利益をあげるチャンスが

 3月末の預金量が177兆円と世界最大のゆうちょ銀行は、今後、金融株セクターの中心銘柄となる。 「ゆうちょ銀行株を買うため、機関投資家が三菱UFJFGや三井住友FGだけでなく、野村HDや第一生命、オリックスなど金融セクター全体の株に換金売りが出ると予想されます。ただ、売られるといっても企業価値が薄れたわけではないので、株価はいずれ元の水準に戻る。大手金融株が下げた場面は買いで臨んでよさそうです」(大神田氏)  ちなみに、機関投資家のゆうちょ銀行株買いで、他銘柄に大量の売りが出るタイミングは何度かある。 「国際分散投資の指標であるFTSE指数とMSCI指数への最速採用日が11月10日と17日で、その前に海外勢による大手金融株売りが見込まれます。また、TOPIXには12月29日終値から反映が始まるので、年末には年金やETF運用業者など国内機関投資家勢の『ゆうちょ銀行以外の金融株売り』が強まる公算が大きい。三菱UFJなど優良株を安く拾うチャンスになるでしょう」(同)  一方、不人気なのが、持ち株会社の日本郵政。上場後に収益源のゆうちょ銀行やかんぽ生命の株を段階的に売却する政府方針が決まっており、日本郵政には不採算の郵便事業だけが残るリスクがある。 「ただ、投資となれば話は別。事前の不人気は将来のジリ貧シナリオを想定したもので、日本郵政の初値は3社のうち最も低くなり、配当利回りが年4%を超える可能性があります」(同)  テスタ氏は、「上場日の値動きを見てから決める」と断ったうえで、 次のような投資戦略を話す。 「’14年に上場したリクルートも超大型IPOだったにもかかわらず、上場直後は個人投資家がこぞって参加し、新興銘柄並みの値動きをしました。日本郵政株も同様に人気化すれば、デイトレで、しかも大きな資金を投入しやすい銘柄になる可能性があります。また、上場直後は3社とも株価が連動する可能性があります。どこかが動き出したとき、出遅れた銘柄を狙う戦略も有効になるのでは」  日本郵政にとって、起死回生のカギはITと土地の活用だ。 「電産システムは公共料金の収納代行システムを運営するほか、ふるさと小包の宛名印刷を請け負っている。上場後の収益強化に連動して、受注量が増えると期待されています。また、日本郵政は1兆5000億円の不動産を保有しています。三菱地所など大手デベロッパーが都市部の大型郵便局の共同再開発を水面下で模索しているほか、地方の中小郵便局はコンビニや介護施設との併営が検討されているようです」(大神田氏)  郵政上場で儲かる銘柄は、電産システムやソフトフロント、フライトHDといった取引先企業、連れ高する金融株、経営の多角化・提携候補の三菱地所やセコム、野村HDなど。郵政上場は利益を上げる大きなチャンスとなりそうだ。 <郵政上場で儲かる関連9銘柄> ●フライトHD 現在株価:455円/売買単位:100株/目標株価:650円/PER:175倍/PBR:9.08倍 デジタルポスト事業を手掛ける。業績がやや低迷気味なため株価水準は低いが、その分だけ値上がり余地は大きい。マイナンバー関連株としても注目される ●カブドットコム証券 現在株価:397円/売買単位:100株/目標株価:450円/PER:16.47倍/PBR:2.96倍 郵政上場を機に口座数を伸ばす。三菱UFJFGの看板が保守的な顧客に安心感を与える。郵政株を売った代金が投信など、ほかの金融商品に回れば収益大幅増へ ●野村HD 現在株価:747.6円/売買単位:100株/目標株価:900円/PER:10.99倍/PBR:0.99倍 ゆうちょ銀行、三井住友信託銀行と共同出資して資産運用会社を設立。証券子会社を持たない日本郵政グループは今後、野村との関係を一段と深めていきそう ●ソフトフロント 現在株価:390円/売買単位:100株/目標株価:520円/PER:――倍/PBR:7.33倍 ネットで手紙やはがきを作成して送れるデジタルポスト事業を展開。地方自治体の各種案内・書類作成に活用が期待され、郵便事業の収益拡大に貢献しそう ●第一生命保険 現在株価:2016.5円/売買単位:100株/目標株価:2500円/PER:13.8倍/PBR:0.67倍 かんぽ生命の同業筆頭株として、上場前の値上がりと、TOPIX算入前の値下がりが予想される。損保最大手の東京海上HDも似た値動きになりそうだ ●セコム 現在株価:7612円/売買単位:100株/目標株価:8500円/PER:21.71倍/PBR:2.08倍 ’08年から簡易郵便局業務を委託しており、地方郵便局網維持と効率性を向上させるためセコムへの委託が増える見通し。高齢者の見守り拠点としての活用案も ●電産システム 現在株価:2020円/売買単位:100株/目標株価:2600円/PER:28.13倍/PBR:2.52倍 郵政上場関連株として本命視。コンビニ収納と同じ払込票を使える「ゆうちょ振替MTサービス」を運営。ゆうちょ銀の手数料収入拡大の切り札になりそうだ ●三菱UFJFG 現在株価:755円/売買単位:100株/目標株価:850円/PER:10.19倍/PBR:0.69倍 トヨタに次ぐ時価総額。ゆうちょ銀行上場前に思惑的な買いが予想される。上場後の換金売りで下げた局面は格好の買い場に。三井住友FGとも連動しやすい ●三菱地所 現在株価:2577.5円/売買単位:100株/目標株価:3000円/PER:49.1倍/PBR:2.39倍 郵便局に加え、複合型の大型ビルの共同開発パートナーとして最有力候補。都市部の拠点郵便局は一等地にあり、再開発で収益性が格段に向上する余地がある ※株価などのデータは10月16日時点のもの。チャートは’15年4月1日以降の日足チャート 【大神田貴文氏】 株式ジャーナリスト。国内大手証券会社などを経て現職。マーケットに精通しているだけでなく、個別企業の裏情報も知る事情通。金融、経済政策にも強い 【テスタ氏】 6億円トレーダー。資産約6億円の個人投資家で、スキャルピングを得意としている。トレードを始めてからの総利益10億円達成を目前としている 取材・文/郵政上場取材班 チャート協力/楽天証券
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