偽装工事が問題化した今“購入を避けるべき”マンションとは?
このところ不動産相場が頭打ち気味に推移しており、「今のうちにマンションを買っていくのが得策かも?」と考える人も少なくないだろう。だが、その一方で驚愕の事実も発覚。横浜市の大規模マンションが傾斜し、杭打ちデータの悪質な改ざんが明るみになった。
他でも似たような不正が行われてきたのではないかと疑心暗鬼になるのは無理もないことだが、大まかに“危ない物件”を避けて通る方法がある。「いつ頃に建てられた物件なのか?」というポイントに注目するのだ。
グラフは国土交通省調査による「全国のマンションストック戸数」で、黄色の棒グラフは新規供給戸数の推移を示したものだ。横浜市の偽装マンションが完成したのは平成19年(2007年)で、昭和43年以降において最大の供給戸数を記録している。
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「建設ラッシュとなると、多忙で管理の目が疎かになりがち。意図的ではないにせよ、どうしても見落としが出てくるものです」(大手デベロッパー勤務のF氏・50代)
しかも、ラッシュともなれば現場の人手も不足気味で、工期にも遅れが生じやすくなる。
「現場では、とにかく工期の厳守が最優先される。その挙げ句、最もプレッシャーをかけられるのは末端の下請け業者です。工期の帳尻を合わせるためには、手を抜かざるをえないと考える土壌がこの業界にはあるのです」(施工会社勤務のK氏・40代)
もちろん、繁忙期に建設されたものにも優良物件が存在しているはずだが、玉石混交となっており、ハズレを引く可能性も高いのが実情だ。象徴的なのがバブル末期〜バブル崩壊直後に建てられた物件で、マンション業界の裏事情を知っている人ならまず手を出さないと言われている。
グラフで言えば、平成元年(1989年)~3年(1991年)の付近だ。前述の2007年のほうが数では上回っているものの、盛り上がりとしては当時のほうが凄かったという。バブル崩壊前から計画されていた物件が着工されたこともあって、そのピークは崩壊後の1991年となっている。
これらの歴史的ラッシュ期のみならず、前後と比べて棒グラフが高くなっている年に完成した物件は、慎重に吟味するのが肝要だろう。加えて、価格的に割安で外見的なリフォームも万全に見えるからといって、うかつに築古物件に手を出すのも禁物だ。住宅診断の専門家・O氏(40代)はこうアドバイスする。
「築古物件は給水・給湯管などが耐用年数を越えて交換費用を自己負担する可能性があるし、断熱性が低くて冷暖房費がかさみがちです。その点、平成12年(2000年)以降に建てられた中古の分譲マンションは、長持ちする部材が使われています」
特に築30年に近づいている物件は、過去に適切なメンテナスを施していないと大掛かりな修繕費用が発生し、その一部の負担を迫られる可能性もある。
「供給過多」や「築古」といったNGワードをかいくぐっていけば、おのずと“買い”なマンションに巡り合えるだろう。<文・写真/大西洋平>
【大西洋平】
住宅、金融を得意分野とするライター。「週刊SPA!」でも活躍中。
供給戸数の多い年の物件は避けるのが無難
バブル期の物件と築古物件には特に注意が必要
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