格闘技ビジネスに「復帰」した榊原信行氏を直撃!「プロモーションではなく、フェデレーションを作る!」の意味
2015.10.21
ほんの数年前まで、「大晦日といえば格闘技」というのが定番化していた時代があった。そんな年末の風物詩『PRIDE』の代表だった榊原信行氏が再び格闘技界に「復帰」した。
聖地・さいたまスーパーアリーナで、12月29日(木)・31日(土)と2日間に渡って開催される新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX(ライジン・ファイティング・ワールド・グランプリ)2015」をぶちあげた榊原氏に、再び彼が格闘技ビジネスの世界に戻ってきたことの意味を尋ねてみた。
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「やっと『喪が明けた』感じなんです。僕がPRIDEの営業権をズッファに譲渡した際に競業禁止規定があって。もちろん、興行を観に行って挨拶するくらいはいいんでしょうけど、いろいろファジーな契約なんで、格闘技界に戻るとかいう以前に格闘技関係者と接触することも避けてきたんです。秋くらいから世界のプロモーションのトップとかとコミュニケーションを取り始めたというところです」
――その間は、FC琉球というサッカーチームの運営をされていましたね。
「はい。FC琉球の経営をずっとやっていて、JFLからJ3に上がれて、沖縄県とかと協調しながらスタジアムを建設できて……と、トルシエと始めたプロジェクトに関しては一応の成果が出たので、J3に上がるタイミングで県にチームを渡して自分は経営から一歩引くという形になったのが2013年です」
――PRIDEを譲渡した頃よりもズッファ、つまりUFCのビジネスも大きなものになりました。
「今はズッファの年商はだいたい500億円くらいまで膨らんでいます。僕がPRIDEの営業権を譲渡した時は年商100億円くらいだったから5倍くらいになった。それくらいのポテンシャルはあると思っていましたが。でも、UFCが巨大になった結果、他のプロモーションとの差が圧倒的になってしまって、格闘技ビジネス全体で見ると不健全なバランスになってしまったと思います。各国のプロモーションでいい選手が育っても、結局はUFCに取られてしまう。もちろん、選手としてはUFCのギャラが高いわけですから魅力的なのは間違いない。ところが、年間契約選手もそうやって増えてくると、使い切れない選手が出てくるんですよ。総合格闘技の選手という”資源”は時間的にも有限でしょう。旬な時期に相応な対価を与えられて、活躍させてあげられる場がもっとあれば、選手という総合格闘技界にとっての”資源”をもっといいサイクルで回せるんじゃないかと思いましたね」
⇒元PRIDE代表・榊原信行氏を直撃!「選手の獲得競争は何も生み出さない」 https://hbol.jp/64998
さかきばらのぶゆき●東海テレビ事業を経て2003年、ドリームステージエンターテインメント代表取締役に就任。PRIDEの代表として黄金時代を築き上げる。07年からFC琉球の経営に参画。’15年10月、新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX(ライジン・ファイティング・ワールド・グランプリ)2015」を発表した
<取材・文/HBO取材班 撮影/菊竹規>
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2015.10.21
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