日本に氾濫する「ドイツは脱原発に失敗した」という誤解

ドイツ人には理解できない、日本のリスク感覚の甘さ

田口理穂さん

「日本ではかなり事実がゆがめられて伝えられていると感じます。ドイツでさまざまなエネルギー専門家に話をききましたが、『脱原発が失敗だった』と考えている人は誰もいませんでした」。そう語るのは、ドイツ・ハノーファー在住のジャーナリスト、田口理穂さんだ。  田口さんは8月末に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』を上梓。その本ではドイツの政策の課題も取り上げた。「しかし、課題があるのは当たり前で、そこだけクローズアップして、『失敗した』と伝えるのはフェアではない」と言う。  むしろ田口さんが日本人とわかると、ドイツ人からよくこんな質問をされるという。「あんなひどい事故があったのに、なぜ日本ではまだ原発にこだわっているのか?」と。合理的なドイツ人が納得する答えを持ちあわせている人が、日本にいるだろうか? <取材・文・写真/高橋真樹 著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)など>
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)。昨年末にはハーバービジネスオンラインeブック選書第1弾として『「寒い住まい」が命を奪う~ヒートショック、高血圧を防ぐには~』を上梓
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なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか

地域の価値が創造され、雇用が生まれる再生可能エネルギーの現場。

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