バルセロナがスペインリーグでプレーできなくなる!? スペインにある「独立問題」

 スペインのバルセロナを首府とする人口800万人のカタルーニャ州には歴史的にスペインから独立したい機運が常に存在してきた。
スペインリーグ

Photo by Tsutomu Takasu(CC BY 2.0)

 18世紀初頭にスペインの王位継承戦で当時のバルセロナ自治領はハプスブグル家に味方した。しかし、ブルボン家がスペインの王位を継承することになり、その時点からカタルーニャも自治権を失うことになった。そしてフランコの独裁時代にはカタルーニャは政治社会的に弾圧された。  1970年代後半に民主化すると、カタルーニャでブルジョア層が中心になって独立機運が再燃して、現在までに続いているのである。  そして、9月27日には州議会選挙があり、独立を主張する3つの連合政党が僅少差で過半数の議席を獲得する可能性が強まっているのだ(本稿配信時には明らかになっているだろうが……)。この独立希望派が勝利したとしても、直ぐに独立宣言をするのではない。しかし、市民の独立への意欲はより高まることになる。

カタルーニャ独立でバルセロナチームが危機に!?

 そして独立機運が高まると必ず取り沙汰されるのがサッカーのバルセロナチームの行く末である。カタルーニャが独立すれば、スペインのプロサッカー連盟の規定から、スペインリーグでプレー出来なくなるのだ。スペインリーグの伝統的な両雄であるレアルマドリードとバルセロナの試合も出来なくなる。ではバルセロナチームはどこでプレーするのか? この問いが常にメディアでも話題になる。  カタルーニャ州でリーグ戦を計画しても、1部リーグにはカタルーニャチームとしてバルセロナとエスパニョルの2チームしかプレーしていない。2部リーグには3チームが籍を置いている。これではカタルーニャ州でリーグ戦を組織出来ないのは明白だ。バルセロナチームのロセル前会長がフランスリーグに参加することをフランスのサッカー連盟に相談したこともあると言われている。またラポルタ元会長はイベリア半島リーグという構想をもっていることを表明したことがある。ポルトガル、スペインそしてカタルーニャのチームで戦うリーグ戦だ。ポルトガルの名門オポルトとベンフィカはスペインリーグへの参加を望んでおり、この構想に関心をもっているという。しかし、この構想を実現させるのは現状ではかなり困難だ。  さらにカタルーニャが独立して、バルセロナがスペインリーグでプレー出来なくなると、メッシーやネイマールのように年俸およそ4500万ユーロ(58億5,000万円)を稼ぐ選手と契約出来なくなる。何故なら、チームとして得る収入が激減するからだ。  スペイン『Vozpopuli』とメキシコ『Financiero』紙によると、〈昨シーズンのバルセロナの主な収入にはテレビでの試合放映権1億4000万ユーロ(182億円)、入場券と会員の収入が1億ユーロ(130億円)、チャンピオンリーグで参戦した収入が5600万ユーロ(72億8,000万円)〉、それ以外にユニフォームの販売や親善試合での収入などもある。また〈2015-2016年の収入はおよそ6億3300万ユーロ(823億円)を見込んでいる〉と、それぞれ報じている。

元バルセロナ監督も独立を支持

 しかし、当のサッカー関係者でも独立を支持する声もある。バルセロナチームの黄金時代を築き上げたグアルディオラ元監督は現在ドイツのバイエルンミュンヘンチームを率いているが、彼は「カタルーニャの尊厳を獲得する為の過程には後退はない。遅かれ早かれ独立することになる」とスペイン紙『ABC』の中で断言している。  独立運動自体は当然のことながらカタルーニャ州民の中で独立を望まない市民も多くいる。さらにスペイン人どころか世界中を熱狂させるスペインリーグにも関わる大きな問題がある。独立派が勝利したとしても、まだまだ道のりは遠そうだ。 <文/白石和幸 Photo by Tsutomu Takasu on flickr(CC BY 2.0)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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