新興国通貨「仕込みどき? まだ下がる?」底値はどこだ?

中国を震源とする世界経済の混乱は、トルコリラや南アランドといった新興国通貨にも大打撃を与えている。最低水準にまで下落した、これらの通貨は今が買いなのか。底値を見極め、為替差益とスワップのダブルで儲けろ!

今こそ仕込みどき? それともまだ下がる?

紙幣 中国の景気減速が明らかになり、暴落する世界株式市場。それに合わせて、史上最安値水準まで下落しているのが新興国通貨だ。  トルコは政策金利7.5%、南アフリカは同6%と高金利通貨としても人気が高く、トルコリラ/円などは2倍のレバレッジで仕込めば年利15%が見込めるとあってスワップ派から人気を集めていた。しかし、昨今の下落で強制ロスカットに追い込まれる投資家たちが続出。激しい為替変動に二の足を踏む人も多いのだが、さすがに「そろそろ底値では?」という空気も漂う。実際はどうなのか? 「今は新興国通貨にとって明るい状況とはとても言えません。中国経済が想定以上に悪化していることは新興国の経済に大打撃ですし、アメリカの利上げが間近なのも悪材料。利上げとなれば新興国からの資金逃避が懸念されます。特にトルコは満身創痍で内憂外患。好材料が見当たりません」  そう話すのは、新興国通貨に詳しいストラテジストの山本雅文氏。また同じく、トルコに警戒感を示すのは元為替デイーラーの松崎美子氏だ。 「6月の総選挙で与党が過半数割れし、連立政権も成立せずに政治空白が続き、11月1日に再選挙が行われます。また、米軍によるイスラム国(IS)空爆作戦にトルコは参加しため報復テロの懸念もある。内外ともに不安だらけなのが現状です」  トルコリラは年初の50円から20%以上も下落。8月24日のチャイナショックでは、節目となる40円も突破し、もはや底の見えない泥沼に入り込んだ感もある。 「円で見ると、底なし感はありますが、対ドルで見れば、米ドル/トルコリラの次のターゲットは3.38トルコリラ。このとき1ドル=120円ならトルコリラ/円は35円44銭。もっともトルコリラ安が進むときは世界的に景気後退が懸念されているでしょうから、円高が進んでいる可能性も高い。1ドル=115円としてトルコリラの底値メドは33円96銭になります」(松崎氏)  スワップ狙いでトルコリラを買いなら、33円台でも強制ロスカットされない資金管理が必要だ。一方、高金利通貨として投資家に人気の高い南アランドはどうか。 「新たな悪材料が出てきていないぶん、トルコよりはマシ。ただし、米中の動向に引きずられて下落トレンドの継続が濃厚です。リーマンショックでの安値7円73銭までの下落も覚悟したほうがいいでしょうね」(山本氏)  一定の底値メドはわかった。今度は具体的な戦略を考えてみよう。

新興国通貨を強気に売り1日で利益100万円超

ナンピン買い

【ナンピン買い下がりは低レバで】新興国通貨で安易なナンピンは危険だ。トルコリラの場合、レバ5倍程度でも強制ロスカットされた人もいるほど乱高下する。ガラケー氏は「最大3倍程度」と慎重な資金管理を推奨する

「スワップ金利を目当てに南アランドとトルコリラを買っています。新興国通貨の急落は嬉しいことではないですが、大きな影響はありません」  そう話すのは、ガラケートレーダー氏。トルコリラと南アランドを買いポジションで長期保有してスワップを稼ぎつつ、短期では売りを仕掛けている。 「チャイナショックが終わったと油断するのはまだ早い。リーマンショックと違い、今回おかしくなっているのは世界のGDP第2位である中国です。リーマンショック以上のインパクトになる可能性もあります。だから安易に買い下がらず、高値で買ったポジションの一部損切りも視野に入れつつ、短期で売りポジションを増やしています」(ガラケー氏)  東京、ロンドン、NYの株式市場開始時間や、仲値決めの時間など市場が動きやすい時間を狙って取引。通貨ペアはやはりトルコリラ/円と南アランド/円だ。 「5銭程度の小さな値幅を狙ったデイトレですが、利益確定できなかった買いのポジションは損切りせず、スワップポジションに転用することもある。9月の雇用統計の日は売りのポジションを積み重ねて、1日で100万円以上の利益になりました」(同)  ガラケー氏のスワップ用ポジションはレバ3倍程度とリスク軽減を徹底。デイトレで稼げれば、資金が増え実質的なレバレッジはさらに低下する。目先の下げ相場で稼ぎながら、安値では少しずつ長期用のポジションを仕込んで気長に反転を待つという戦略だ。 「節目となるイベントをクリアするごとに少額ずつ買っていくのも一つの手ですね。トルコリラなら①11月のトルコ総選挙で与党が過半数を占める、②12月と予想される米利上げが新興国通貨に深刻な影響を与えない、③中国が大規模な景気対策を打ち出す、といったタイミングで少しずつ買っていくわけです」(山本氏)  トルコリラと南アランド、どちらを買うかも悩みどころだが。 「悪材料が多いのはトルコですが、それが解消されれば反転上昇のきっかけともなる。金利面で見ると南アランドは今後1年の間に0.75%程度の追加利上げが見込まれており、トルコの水準に近づきそうです」(同)  両通貨とも為替レートは同方向に動きやすいから、資金を半分ずつ分けて投資するのも手だ。今のうちから慎重に仕込んでいけば数年後には金の卵を産むお宝ポジションになる可能性もありそうだ。 【トルコリラ】ドルベースで算出した底値メドは33円台 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=60745 トルコリラすでに史上最安値水準である40円を割り込んだトルコリラ。米ドルベースのレートとフィボナッチ比率から計算される安値のターゲットは35.44円と33.96円で、いまだ17%以上の下落余地がある。仮に40円のときにレバレッジ6倍で買いポジションをとってしまうと、強制ロスカットされてしまう可能性がある。11月に実施される再選挙の結果を受け、安定した政権の樹立が達成。また対イスラム国、クルド系武装勢力との戦いが沈静化するのが反転上昇の条件だ 【南アランド】底値メドはリーマンショック時の7.73円 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=60746 トルコリラ南アランド/円の史上最安値は’08年10月につけた7.73円。コモデティ相場もいったんは落ち着き、これ以上の新たな悪材料は見当たらないが、対中国との貿易比率が高く、中国経済の大幅な景気減速の影響は避けられない。米国の利上げの巻き添えを受けるので、当面は下落基調が続きそうだ。最安値更新の可能性もあるが、好材料は0.75%程度の利上げが見込まれていること。7円台半ばまでの下落を前提に、慎重に買い下げていくのもありかもしれない 【山本雅文氏】 ストラテジスト。日本銀行で市場介入や外国為替市場調査などに従事。現在はマネックス証券で個人投資家向けのリポートや動画配信などを行う 【松崎美子氏】 元為替デイーラー。スイス銀行やバークレイズ銀行、メリルリンチ銀行などの金融機関で活躍し、現在は個人投資家 http://londonfx.blog102.fc2.com/ 【ガラケートレーダー氏】 個人投資家。営業職のかたわらFXや株に取り組むサラリーマントレーダー。新興国通貨投資を主軸にする豊富な経験&知識で資産を着実に増やす http://fxfxfx531.blog.fc2.com/ 取材・文/高城泰(ミドルマン) 図版/ミューズグラフィック 写真/時事通信社
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