東京五輪エンブレム問題をエニアグラム的視点で見てみた
― 原田まりるの「エニアグラムで見るニュース」第7回 ―
@HaraDA_MariRU>
85年生まれ。京都市出身。作家・哲学書ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。元レースクイーン。男装ユニット「風男塾」の元メンバー。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。ホームページ(https://haradamariru.amebaownd.com/)
東京五輪エンブレム問題で、騒動の末にエンブレムを取り下げたが、いまだ数多くの模倣・盗用疑惑を列挙され、叩かれている佐野研二郎氏。
そうした疑惑の真偽や佐野氏ご本人の人柄ははさておき、世間が佐野氏にもつイメージのように「他人からの賞賛をもとめつつ、芸術的にみられたい」と欲するタイプはエニアグラム的にみると「3w4」にあたる。タイプ3w4とは、タイプ4要素を持ったタイプ3ということを示す。
どういうことかというと、タイプ4は「他人とは違う、個性や創造性を大切にしたい」という要素を持つ人で、主に芸術家や音楽家などに向いている。しかし、それ以前にベースとして「他人から評価されたい、なにがなんでも成功したい」というプラグマディックな要素を持つタイプ3があったのではないかということだ。
この一見相反した二つの価値観であるタイプ3とタイプ4を持ちつつ、タイプ3がベースになっている場合、「創造的な人間として他人から評価され成功したい」という願望にいきつく傾向がある。
言ってみれば、「小説をかきたいか」「小説家になりたいか」という違いに似ている。「小説をかきたい」という欲求が第一である場合、創作することが重要となる。しかし「小説家になりたい」という欲求が第一である場合は、他人から“小説家”として評価されることが重要となるのだ。
そのため、このようなタイプも、タイプ4のように芸術家や芸能人などにもいるのだが、どちらかというと、徹底したセルフプロデュースで、“芸術性に優れた一流の人”というイメージで自分を演出するのが旨い「プロフェッショナル」ということになる。
佐野氏に対する批判やネットで話題にのぼる模倣などは言いがかりと思えるものも少なくはない。しかし、初手で佐野氏が自身のデザインに対するロジックを懇切丁寧に説明しておけば、それらの誤解は最初の段階で解消できたのではないか? もし仮に、佐野氏が世間的なイメージから類推される「タイプ3w4」だとするならば、今回の模倣・盗作疑惑騒動は、作り上げられた「トップデザイナー」像に固執し過ぎたことが根底にあるのかもしれない。
<文/原田まりる Twitter ID:
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