「代ゼミのリストラが象徴するスーパースター現象」藤沢数希氏
駿台、河合と並んで「三大予備校」の一角だった代ゼミが校舎の7割を閉鎖することが明らかになった。少子化や現役志向などいくつかの原因が語られているが、代ゼミの衰退からは、ほんの一握りだけが総取りする「スーパースター現象」が浮かび上がってくるという。
報道によると、大手予備校「代々木ゼミナール」が全国27か所の校舎のうち7割以上に当たる20か所を来春にも閉鎖する。渋谷の代ゼミタワーと造形学校、札幌校、新潟校、名古屋校、大阪南校、福岡校を存続させ、ほかの地域の校舎はなくなる。大幅縮小に追い込まれた理由は、もちろん少子化による大学受験人口の減少である。さらに現役志向が高まり浪人生が減少、国公立、理系を志望する受験生が増えていることが、私大文系を得意とする代ゼミには不利に働いた。日本の文系大学は、人文科学の勉強をするというよりは、数学ができなかった人が行くところであったが、近年はAO入試や推薦入試の枠が大幅に増え、数学のみならず、すべての勉強が嫌いな人が行くところになり、必然的に予備校に頼る必要さえなくなった。
大教室での伝統的な授業を売りにする代ゼミが少子化の波に抗えなかった一方で、東進ハイスクールは、年度から年間100教室のペースで新設し、日本中で業務を拡大していくという。こちらはインターネットにより、人気講師の講義を全国に散らばる教室に配信する。生徒は各教室の個室ブースや自宅で、オンデマンドで授業を聴講し、小テストなどで理解度を確認しながら先に進んでいく。模試の解説授業もすぐにネットで配信される。
このようなインターネットによる授業形態は、実はWindows95が話題になっていた20年前からすでに考えられていた。当時、経営コンサルタントの大前研一氏は、各科目で一番授業がうまい教師が世界に一人いればいいから、多くの教師は失業するだろう、と予言していた。
⇒【後編】に続く https://hbol.jp/5953
【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」管理人。恋愛工学メルマガも発行する。cakesでは恋愛小説も連載中
代々木ゼミナールの大リストラでわかる「少子化」と「スーパースター経済」(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)
『外資系金融の終わり』 それでも明るい金融の未来 |
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