焼酎も「原料の品種」で楽しむ時代に!? 密かに人気を伸ばす「ある原料」
2015.09.07
90年代後半以降、ビール類や清酒の消費量が減る中で増加傾向にあった酒類がある。
それは「焼酎」だ。
いわゆる焼酎(本格焼酎+甲類焼酎)の消費量は、00年代前半、各地の本格焼酎が広く飲まれるようになった「第3次焼酎ブーム」で消費量を大きく伸ばし、清酒を追い抜いて以来、安定した市場になっている。
この「赤芋」とは何なのか? 文字通り、芋の種類が違う。一般的な本格焼酎は「コガネセンガン」(皮は黄金色で身は白)というサツマイモが原料なのだが、赤芋焼酎の場合は「ベニサツマ」「ナルトキントキ」などの皮や身が赤い「赤芋」が原料になっているのだ。
この赤芋、通常は食用で流通していることがほとんどのため、今までは焼酎になることは少なかった。しかし、徐々にその人気が拡大している。
その理由は「香り」である。
赤芋焼酎の特徴は柑橘系を思わせる甘い香り。これが焼酎ビギナーや女性にも飲みやすいとしてウケているのだという。希少価値が高く、よりフルーティで華やかな香りが特長の「紫芋」を原料とした焼酎も登場している。
酒文化研究所の山田聡昭研究長は次のように語る。
「ワインでも日本酒でも、ブドウや酒米の品種はいろいろある。焼酎でも、ようやく次の味わいの原料素材として赤芋が出てきたのは飲み手にとっても楽しいことです。今年ブレイクしたクラフトビールはホップの香りや、エールビール特有のフルーティな香りが好まれた面が強い。おもしろいのは清酒もビールも香りを強調する器であるワイングラスで飲む動きが広がっていることです」
若者のビール離れなどと言われたビールだが、クラフトビールなど選択肢が増えることで再び注目を集めている。その理由もまた、「香り」であるという。
焼酎も、従来の「芋」「麦」「米」など大雑把な分類から一歩進んで「品種」でさまざまな味わいの違いを楽しめるようになれば、愛好者の裾野も拡大していくかもしれない。
<取材・文/HBO取材班>
中でも、本格焼酎の間で人気が高いのが「芋焼酎」である。そのシェアは本格焼酎市場の45%を占め、帝国データバンク福岡支店が8月26日に発表した焼酎メーカー売上高ランキングでも芋焼酎が主力の鹿児島が売上高882億円で全体の36.4%を占めている。
ただ、焼酎のジャンルも、芋以外には麦やら米やらとは思いつくが、同じ「芋」の中で密かにシェアを伸ばしつつあるジャンルがあることをご存知だろうか。
それが「赤芋」を使った「赤芋焼酎」である。安定しているとはいえ横ばい状態の焼酎市場の中で、ここ数年2桁増の成長を続け、市場規模は2014年1−12月で推計162.7億円に上るという(宝酒造調べ)。
香りが違う「赤芋」からできる焼酎
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