ほとんどが日本製…
台湾で日本製品ブームが一段と過熱している。もともと台湾や中国(特に沿岸地域)での日本製品への人気が高かったところ、円安で火がついた。現在では人気の日本製品には、個数制限がかけられるものすらあるという。台湾在住のコーディネーター、齋藤安奈さんは、日本製品の人気の過熱ぶりをこう語る。
「もともと台湾では『日本製品は高嶺の花だけど、とても品質がいい』というイメージがとても強かったんです。そこに昨今の台湾ドル高(円安)の影響で、日本製品に人が殺到しています。実は台湾国内では実際のレートほど安くなってはいないんですが、イメージとしての割安感が後押しして人気の品がさらに注目を集めるという構造ですね。『日本製ならなんでもモノがいいはず』というイメージに加えて、最近では替えのきかないオンリーワン消費も増えてきています」
その象徴として挙げられるのが、「パナソニックのナノドライヤー」。台湾の百貨店や家電量販店で売り切れ続出。本来の商品特性からは考えにくい「1人1台という台数制限がかけられるほど」の大ヒット商品となっている。日本よりも、さらに多湿な台湾で髪型に苦労する女子のヘアーをきっちりまとめて、ハートをがっちりキャッチ、ということか。
続く人気アイテムが、日本メーカーの風邪薬。日本製品全般に対する信頼感が、薬にも波及しているということらしい。そもそも台湾では日常の養生は漢方で、本当に具合が悪ければ病院にかかるという考え方。市民にも「台湾の市販薬は効かない上に、パッケージのデザインが古臭い」という認識が定着しているという。ちなみに、日本の風邪薬のなかでも大正製薬のパブロンの人気が突出しているとか。
さらにもうひとつ、変わり種。コンドームである。日本製のコンドームは、国内での薄化競争のなかで世界一の薄さを手に入れた。人口一人あたりの軒数ではもはや日本のそれをしのぐ台湾のコンビニ店頭では、「003」と大きくパッケージにデザインされたオカモトの0.03mmのコンドームが、人気を博しているという。
ここまでは、すべて台湾で販売されている製品の話。だが、実は本当に人気があるのは日本で販売されている製品だという。前出のコーディネーター、齋藤安奈さんは「製品によって、少しずつ理由は違いますが、『日本のほうが最新のいいものが入手しやすい』という理由はあると思います」という。
「たとえば、パナソニックのナノドライヤーは台湾だと品薄で手に入りにくいだけでなく、日本で買ったほうが安いし、機種やカラーも選べていいことずくめ。そうした理由もあって、台湾の人がいま日本に旅行することが周囲にバレると、密輸を疑われる量のおみやげを頼まれかねません(笑)」
薬は少し違う事情があるようで、台湾では市販薬の成分規制が、日本よりもかなり厳しい。「市販薬が効かない」と言われるのも道理で、日本ブランドの薬でも日本で販売されている薬と成分が異なることが往々にしてある。
オカモトのコンドームにしても、台湾では日本で売っているような0.01mm版はコンビニなどの店頭に並んでいない。
「どの商品も日本で買うほうがメリットがある上に、そもそも台湾の人にとって、大きなドラッグストアや、ヨドバシやビックカメラのようなキラキラした家電量販店は、アミューズメントパークのようなものなんです。私の友人も、日本に行くとその手のお店で撮影した画像をSNS経由でうれしそうに送ってきます(笑)。『日本の最新型』を『安く』『豊富な種類から選びたい』なら訪日というのは、なかば定番化しています。なので、もし台湾を訪れることがあったら、予算と用途に合わせてこうしたアイテムを持っていくと喜ばれると思いますよ」
そのほか、齋藤さんに聞いた台湾へのおみやげ候補に入れるべき、人気アイテムは次のとおり。Sony製品、Dyson製品、カメラ全般、ゲーム機、スチームオーブンレンジ、空気清浄機、プラモデル、携帯アクセサリー、(日本の)風邪薬、胃腸薬、頭痛薬、目薬、虫さされ薬などなど。
詳報した「パナソニックのナノドライヤー」「パブロン」「オカモト0.01mm」以外のおみやげ品のご参考にされたし。
<取材・文/高田純造>