世界的に注目される「人工波サーフィン施設」。神戸でプロジェクトが始動
2020年の東京オリンピック・パラリンピックで追加種目に入るか検討されていることでも注目を集めているサーフィン。
そんなサーフィン業界では、ここ数年世界的に「海のない土地」でもサーフィンを楽しむための人工波発生装置を擁するウェイブプールの建設が盛んになっている。
ドバイの国際空港から2時間弱走ったところにも、『Wadi Adventure』というウォーターレジャー施設があり、大規模なウェイブプールを擁し、話題になっていたこともある(現在はサーフィン用としては非公開)。
さらに最近では、8月1日にイギリスのノースウェールズに、ウェイブガーデンという人工波発生装置を活用した世界初の商業施設『サーフスノードニア』がオープンした。このウェイブガーデンというシステムは、2005年からエンジニアのホセマ・オドリオソラとスポーツエコノミストのカリン・フリッシュが共同で開発していたもので、ここ数年スペインのバスク地方に建設されたプロトタイプでプロサーファーが波乗りする動画が公開され、話題を呼んでいたものだ。その人工波がついに一般公開されるに至ったものが、前出の『サーフスノードニア』なのである。現在、このシステムは各地に売り込みが行われており、噂では数年後にはアメリカやオーストラリアで数十箇所の施設がオープンするとも言われている。
また、オーストラリア出身の有名シェイパー、グレッグ・ウェバー発案の人工波発生システムを利用した施設がオーストラリアのクイーンズランドに9月にオープンするという話も出ているし、世界的な有名サーファー、ケリー・スレーターも独自の人工波発生システムを研究しているという。
実はこの人工波のサーフィン施設といえば、日本もかつては商業施設として所有していた。しかし、宮崎県のシーガイアや神奈川県のワイルドブルーヨコハマなどが知られた存在であったがいずれも閉鎖。東武スーパープールは現在も残っているが、ウェイブプールは現在サーフィン用には公開されていないのが現状だ。
そんな中、日本独自の人工波発生装置を使用したウェイブプールが神戸に登場することになるかもしれないと話題になっている。
プロジェクトを発表したのは神戸市内の「みのたにグリーンスポーツホテル」。プロジェクトの概要では施設の名は「神戸人工サーフィン施設kobe-reyes-」とされ、縦100m×横60mのサーフィン場を含む3000坪という規模のものだという。開始の時期は平成27年内に仮オープン、平成28年4月にオープンを予定しており、主に初心者層をターゲットにしている。
この施設の運営及び、同施設に導入される人工波発生装置を開発したのは、スノーボードの練習施設「KINGS」を展開するレスポンスエンジニアという会社だ。
同社はオフシーズンのスノーボード練習施設として世界初と成るエアーマットランディングシステムを開発。現在ではトップ選手の多くがオフの練習に訪れる施設になっている。同社社長の押部宣広は、2013年から人工サーフィン施設の研究を開始。キャリー式造波装置と人工リーフを独自に開発し、10分の1スケールでの実験を成功させている(ともに国際特許出願済み)。今後、「みのたにグリーンスポーツホテル」で実物大施設での検証を経て、オープンを目指すという。
「雪の無い街、神戸から」を掲げて日本でも有数のスノーボードオフ練習施設を作り上げた押部氏。今度は「海の無い街、神戸から」、独自開発の人工波発生装置でサーフィン施設を作り上げていくことになる。
東京オリンピックで追加種目に入れば、間違いなく日本国内での注目度もアップするサーフィン競技。押部氏の挑戦が、日本のウェイブプール復権へのきっかけになるか、注目していきたい。 <取材・文/HBO取材班>
イギリスに大規模人工波サーフィン施設がオープン
日本でも人工波サーフィン施設プロジェクトが始動
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