「ぐるリザ」では割引率が表示されるので、いくら懐に入るのかがわかりやすい
7月中旬に発表された中小企業の賃金上昇率は前年を下回った。そんな景気の伸び悩みが続くなか、サラリーマンの一部では経費を活用した「キャッシュバック」サービスが密かに人気となっている。
代表的なのがクーポンサイトの「ぐるリザ」。飲食店で払った金額の一部が、後日換金可能なポイントとしてキャッシュバックされる。
「会計時にクーポンを提示する必要がなく、いったんは通常の料金で支払います。だから、同行している人にバレないっていうところがキモ。歓送迎会の幹事なんてメチャクチャおいしいですよ」(38歳会社員)
なかにはキャッシュバック40~50%という店舗もあり、数万円単位の小遣いを稼げることもある。
「キャッシュバックももちろんだけど、クレジットカード払いができる店舗かどうかも必ずチェックする。クレカポイントが貯められるのは大きい」(同会社員)
宿泊予約サイトではQUOカード付きプラン専用のコーナーも定着した
出張族の間で人気なのがQUOカード付きの宿泊プラン。宿泊費の一部が、QUOカードとしてキャッシュバックされるというものだ。
「ホテルが発行する領収書にはQUOカードについての記載は一切なし。QUOカード込みの宿泊費の金額が書かれています。それだけ見ても、絶対に会社にバレることはない」(43歳会社員)
サービスを実施しているビジネスホテルは「じゃらん」や「楽天トラベル」の予約サイトで簡単に検索できる。
ただ、近年は不正経理などについて、会社のコンプライアンスも厳しくなっている。企業法務に詳しい弁護士・小沢一仁氏は次のように解説する。
「会社のお金で支払って受領する以上、QUOカード等も会社に帰属するものと考えられます。そのため、会社に黙ってQUOカード等を取得すれば、刑事上は業務上横領罪に問われ、民事上も不法行為責任等を問われる可能性があります。このような問題が訴訟にまで発展した例を私は知りませんが、いずれにしてもトラブルに発展しないよう、会社はこのような行為に関するルールを作成して従業員に周知し、従業員は事前に会社に相談等することが必要でしょう」
小遣い稼ぎも捨てがたいが、会社からの信用はもっと大切。できれば上司の了承のもと、堂々とこれらのサービスを利用したいものだが。
【小沢一仁氏】
インテグラル法律事務所、東京弁護士会所属。企業法務、インターネット問題、倒産処理(債務整理)に関する事件のほか、男女問題、相続等幅広い事件を扱う