アダルト詐欺サイトの最新手口に迫る

誤操作キャンセルの画面

誤操作キャンセルの画面。「電話窓口」のボタンを押すと強制的に電話がかかる

 アダルト違法請求の被害が急増している。平成27年度の消費者白書によると、相談件数は11万件で前年より3万件増え史上最悪となった。  急増の理由の1つは、女性の被害者が増えていること。女性向けではBL漫画サイトや芸能人の動画サイトなどに、詐欺サイトの広告が出ている。「同人誌のダウンロードだと思ってクリックしたら20万円請求された」(東京都・32歳女性)「アイドルの動画サイトのはずがアダルトサイトになり、怖くなって12万円払った」(広島県・22歳女性)といった被害が出ている。女性はこの手のアダルト詐欺サイトに免疫がないために、驚いて払ってしまう人が多いようだ。  スマートフォンの機能を利用する巧妙なしかけも被害増加の一因だ。ワンクリックで高額な請求画面を出すのに合わせて「カシャッ」とシャッター音を鳴らし、「顔写真を撮影した」として脅す手口もある。実際にはシャッター音を鳴らすだけで撮影はしていないのだが、被害者は驚いて払ってしまうことが多い。またポップアップ画面で電話をかける画面を出し、閉じることができなくして電話をかけさせる手口もある。  消費者白書によれば被害者の約37%が50代以上と、高齢者の被害も多い。高齢者がよくダマされるのがキャンセルの手口。「誤操作でキャンセルできると書いてある電話に連絡したら、それ以降何度も払うように脅迫された」(東京都・62歳男性)「広告に『詐欺サイト相談』とあったので電話したら別のサイトから請求が来るようになった」(大阪府・58歳男性)と被害者に電話をかけさせて、後から違法請求を行う手口もある。  また、最近では犯人が身元隠しのためにプリペイドカードを買わせる手口が急増しているので注意したい。いずれにしても、アダルト詐欺サイトの鉄則は「無視すること」。何があってもメールや電話はしないことが重要だ。 【アダルトワンクリック詐欺の新手口】 ・シャッター音で脅す 請求画面でシャッター音を鳴らす。顔写真を撮影したと称して払うように脅迫(2015年3月) ・女性向けサイトの広告利用 BL系や男性アイドルサイトでのワンクリック詐欺増加。広告で誘導する(2015年6月) ・強制的に電話をかけさせる詐欺 高額請求表示後に、業者に電話をかけさせるポップアップ表示。閉じることができない(2015年3月) ・プリペイドカードで払わせる 架空請求の代金を、電子マネーのプリペイドカードで払わせる。身元隠しのためか(2015年7月逮捕) ・「ワンクリック相談サイト」詐欺 詐欺サイトの相談・返金をすると称して着手金などをだまし取る詐欺(2013年~) ・「キャンセル・誤操作相談」 「誤操作した場合は下記へ」として電話をかけさせる手口。スマートフォンで多い(2010年~) 【三上 洋氏】 セキュリティ・ネット事件・スマートフォンを専門とするITジャーナリスト。読売オンライン「サイバー護身術」連載。テレビ・ラジオでの解説多数
ハッシュタグ
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会