「広島は原爆のモルモットにされた」。スペイン紙報じる

 また英国のBBCのスペイン語版『BBC Mundo』でも8月6日付で広島に投下された原爆のことをアルトゥロ・ワラス記者が取り上げた。その中で<兵隊と一般市民の区別なく広島に原爆を投下したことは戦争犯罪だと考えている者が多くいる>と指摘した。コーネル大学のマーク・セルデン教授はワラス氏のインタビューに答えて<「東京を含め3都市への空襲で50万人以上が犠牲者になっていたが、日本はまだ降伏する意思はなかった。天皇陛下を守ることが念頭にあったからだ」>と述べ、<「それでも降伏への道は必死に摸索していた。その為に日本はソ連に仲介を頼むことも考えていた」>と語った。またカリフォリア大学の長谷川毅教授は<「正にロシアが介入する可能性があることに及んで、トルーマンは原爆を使って終結させることを決意した」>と同氏のインタビューに答えた。そして<「原爆を使った理由はソ連が参戦する前に日本のリーダーに降伏させる為であった」>とも説明した。  またセルデン氏と長谷川氏が同意しているのは、原爆を投下した理由は<米国が開発した原爆を戦争中に使用しないというのは非常に難しかったからだ>と同紙は伝えた。  更に、長谷川氏は<「道義的ためらいは原爆の魅力の前に征服された。だから以前はB29から300発の爆弾を投下したが、それが1つの爆弾で済むという段階の差が投下の決定を相対的に容易にさせた」>とインタビューで指摘した。  最近まで注目を集めたイランとの核協議においてドイツ以外の5カ国(米英仏露中)は核保有国である。核を持っている国がイランに対し核をもってはいけないと規制する矛盾。この5カ国にもそして他の核保有国にも地球全体で核を破棄するように義務づける必要がある。それは現段階では理想論ではあるが、現状の国際情勢では核兵器が存在する限り何れ核戦争が起きる可能性は充分にある。  原爆投下後70年となる今、広島に生まれ、原爆によって殺された親族を持つ筆者は、その「理想」に向けて世界が動くことを切に願う。 <取材・文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなしていた。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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