大塚家具、お家騒動を逆手に業績回復させた大塚久美子社長の立ち回り

リニューアルを謳う大塚家具サイトトップページ

 経営権を巡る親子対立でメディアの注目を集めていた大塚家具が7月29日、6月の中間決算を発表し当初の業績予想を上方修正したと発表した。それによれば営業利益は4億9300万円(前回予想は2億5900万円の損失)、経常利益は6億1100万円(前回予想は1億7600万円の損失)、四半期純利益は3億5900万円(前回予想は1億2600万円の損失)となる見込みになったという。  この好調の要因となったのは、“お家騒動”が一段落した後に大塚久美子社長のもと実施した「大感謝フェア」と銘打たれた”お詫びセール”だ。今年の4月から行われた同フェアでは、通常価格より最大50%の値下げと10%お得になる割増商品券などを配布。旗艦店である新宿ショールームは開店前に行列もでき、久美子社長が店頭に立って先着100人にガーベラの花(ちなみに、ガーベラ全般の花言葉は「希望」「常に前進」だとか)をプレゼントするというパフォーマンスも好印象で、各店限定10セットの目玉商品93万5000円(久美子から取った?)の高級寝具セットは即日完売。当初の予定であった4月30日から会期が5月10日まで延長されるほど好評を博した。  また、「父がすみません……」、「けんかしない!」などというセリフも出てくる騒動を逆手に取ったCMも各メディアで話題になるなど、騒動を今度は逆手に取ったプロモーションを行うなどネガティブな注目度ながら獲得したメディアの関心をポジティブなものへと変える戦略も功を奏しているようだ。

新生・大塚家具第一弾、リニューアルイベントも久美子社長が登場予定

 さらに、通期の業績予想に関しては、第3四半期以降の新しいビジネスモデル構築に向けた設備投資などに振り向けるとして、営業利益・経常利益・当期純利益については、それぞれ前回発表予想を据え置くとしているように、今後の新たな展開もすでに始動している。その第一弾として、戦略地区として掲げる東海3店舗を大幅なリニューアルを行い、8月8日に新装オープンするという。新店舗は久美子社長が掲げていた新生大塚家具のコンセプトを反映しており、受付が縮小、接客も基本的には客が自由に店内を動けて必要とあらばアドバイザーが対応する体制にし、ものを見せる売り場から住まい方を見せる売り場に変更するなど、IKEAなどを意識した路線になっているという。  リニューアルオープン当日には、再び久美子社長が店頭に立ち、挨拶と出迎えをするなど、ここでも社長が先陣を切る予定だ。 「親子喧嘩」のほうは、父である勝久氏が同社の大株主の資産管理団体「ききょう企画」に対し、15億円の支払いを求めた訴訟を起こすなど法廷闘争となり引き続き長引くことになりそうだが、久美子社長の経営手腕が周囲を納得させ父も折れることになるのか、今後も注目したいところだ。 <取材・文/HBO編集部>
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