恩知らずな仕事仲間とは、どう付き合っていけばいいのか?

【石原壮一郎の名言に訊け】~石原裕次郎の巻 Q:仕事は持ちつ持たれつだと思っています。自分も今まで、たくさんの人に助けられてきました。だから、誰かを紹介してほしいとか、こういうことについて教えてほしいと頼まれたら、自分にできることは力を貸しています。でも、腹が立つことに、その後どうなったか報告してこないヤツがほとんどです。恩に着せるつもりはないし、お礼を言ってほしいわけでもありませんが、人の人脈や知識を使っておきながら、あまりに身勝手で失礼ではないでしょうか。(静岡県・40歳・営業)

写真はイメージです。

 A:お腹立ち、ごもっともです。「そうそう、あるよね」と同意なさった方も、「あっ、やっちゃってるかも」とギクッとなさった方もいるでしょう。両方に当てはまる方もいるかもしれません。人間って、そういうもんですよね。喫茶「いしはら」のカウンターには、町内で「イカしたアニキ」として慕われているアキラさんがいらっしゃいます。「イカしたアニキ」歴は、かれこれ40年の大ベテランです。アキラさん、どうっスかね。  おいおい、野暮なこと言ってんじゃないよ。頼られるうちが華だぜ。大きな借金なんてこさえてみな。まわりから見事に人がいなくなるから。いや、ちょっと話がそれちまったな。  いいじゃねえか。頼られている嬉しさは、感じさせてもらってんだから。そりゃ、恩は忘れちゃいけないし、礼は尽くさなきゃいけない。お前さんは、人に世話になったときには、きっとそうしてるんだろう。まわりが恩知らずで礼儀知らずだからって、自分ばっかり「損」をしていると思う必要はない。当たり前だけど、きちんとやるほうが「得」なんだ。  俺もアニキと呼ばれてるけど、俺たちの世代にとってのアニキといえば、なんたって石原裕次郎だ。この喫茶店のマスターも石原らしいけど、見かけも中身も大違いだな。同じ名前だなんて失礼な話だぜ。アニキの裕ちゃんが、こんなこと言ってんのを知ってるか。 「人の悪口は、絶対に口にするな。人にしてあげたことは、すぐ忘れろ。人にしてもらったことは、生涯忘れるな」  お前さんに助けてもらった相手が、どういう態度を取るかは、しょせん相手の問題だ。腹を立てたところで、どうなるもんでもない。もし、我慢できずに「おい、報告がないのは失礼じゃないか」と相手を責めたって、お前さんの値打ちが下がるだけだ。「役に立ったんだったら、それでいい」と涼しい顔をしていればいいのさ。  ただし、そいつがまた性懲りもなく頼ってきたときにどうするかは、ま、別の話だな。助けてやる気になれなくても、それは仕方ない。礼を尽くさなかったせいで世界を狭めちまったのは、向こうの自業自得だ。そうやって、人として何が大事なのかを覚えていくのさ。  裕ちゃんは、若い頃にこうも言っている。「ぼくはまだ若くて単純かもしれないけどね。自分で納得のいかないことはしたくないよ」ってね。お前さん自身は、自分が納得がいくような行動をすればいい。他人の行動にあれこれ不満を抱いたところで、余計なストレスがたまるだけだし、あんまり粋じゃないかもしれねえな。

【今回の大人メソッド】自分の常識で他人に期待するべからず

 恩とか礼儀に対する考え方、示し方は人それぞれ。最初から期待しないほうが気が楽です。「自分ならこうするのに、どうしてあいつは」と、自分の常識を基準に相手を責めても不毛だし、けっしてカッコよくはありません。もちろん、あまりの失礼さに腹が立つこともままありますが、「他山の石にしよう」ぐらいに思っておくのが大人のたくましさです。 【相談募集中!】ツイッターで石原壮一郎さんのアカウント(@otonaryoku )に、簡単な相談内容を書いて呼びかけてください。 いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
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