電力自由化で再び表面化!? 原発再稼働で増える核のゴミの処理問題

 九州電力川内原発1号機で、再稼働に向け核燃料の装填が完了した。国は原子力規制委員会の適合審査を受けた原発は順次再稼働させる方針だ。しかし運転で生じる核のゴミ=使用済み核燃料を再利用する国の「核燃料サイクル」は暗礁に乗り上げたままで、来年の電力自由化を前にその先行きは不透明さを強める。

巨費投じても実現メド立たず

原発再稼働で再び核のゴミが増え始める

 核のゴミには燃え残りのウランや、新たに生成されたプルトニウムが含まれている。これらを取り出して再び核燃料に加工してプルサーマル発電などで再利用しようというのが「核燃料サイクル」だ。

 この作業を行うために青森県六ヶ所村に建設されたのが「六ヶ所再処理工場」である。電力会社が出資する日本原燃が運営。再処理のための費用は「総括原価方式」により、私たちが払う電気料金に上乗せされている。

 ところがこの六ヶ所再処理工場、これまでに当初予算の3倍近い、約2.2兆円もの巨費が投じられながら本格稼働できていない。しかも運転すればクリプトン、トリチウムなどの放射性物質が環境に放出されるため、稼働に反対する声もある。また、再処理工場とともに核燃料サイクルの要とされる高速増殖炉「もんじゅ」も、同様に巨費が投じられながらトラブルが続き、実用化のメドは立っていない。

 国の原子力委員会は東電原発事故の翌年の2012年、核のゴミの処理に関する決定を発表。「将来の政策変更に対応できるような備えを進めるべき」とした。原発ゼロが将来実現すれば、核燃料サイクルは不要になる。よって、従来の核燃料サイクル一本槍から脱して、再処理せずそのまま処分する「直接処分(ワンススルー)」を選択肢に加えよ、などというのが骨子だ。

 今年6月18日、国会議員で作る「原発ゼロの会」が主催する「国会エネルギー調査会(準備会)」で、前原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎氏は次のように講演した。

「核燃料サイクルは硬直的な全量再処理政策を脱却し、将来の状況に応じて柔軟性を高める取り組みを優先するべきです。中間貯蔵の拡大、直接処分を可能とする取り組みはその代表例。特に、(47トンを抱える)プルトニウム在庫量の削減は国際社会の安全保障上からも必須の課題です」

 ところが原発再稼働が「秒読み段階」に入る中、国は核燃料サイクルに再びテコ入れしようとしている。6月26日、経済産業省は半年ぶりに有識者会合を開催。今後の核燃料サイクルに関する議論を再開した。

日本原燃を国の認可法人に?

 ここで焦点となっているのが、原燃を電力会社が出資する株式会社から、国の認可により設置する認可法人に移行するかどうかだ。国が原燃に関与することで、核燃料サイクルを支えるねらいがある。

 今後、電力自由化で電気料金の値下げ圧力が強まれば、核燃料サイクルのための上乗せ分は「成果を出せていない」として削られる可能性が十分に考えられる。認可法人化はそうした事態への国の備えともみられる。

六ヶ所再処理工場(Wikimedia Commons.)

 経産省の有識者会合の委員の一人で、NPO原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「(核のゴミの処分方法の柔軟性を高める)選択肢を作らせないために、核燃料サイクルの救済策として条件整備をしているように見えます」と話す。

「今後、原発を維持するにしても、核燃料サイクルから撤退するという選択肢はあると思います。しかし現実には、そうした選択肢は採られません。電力自由化の中で立ちゆく見通しがないにもかかわらず、六ヶ所再処理工場は閉鎖されないのです」(伴氏)

 鈴木氏とともに講演した、IPFM(国際核分裂性物質パネル)前共同議長のフランク・フォンヒッペル氏は「日本の(核燃料にプルトニウムを混ぜて燃やす)MOX計画はこれまで失敗しています。六ヶ所再処理工場が計画通りに運転すれば、日本のプルトニウム量が爆発的に増加することを防げません」と警告した。

 50トンに迫る日本のプルトニウム保有量は、核兵器の4大保有国に次ぐ量だ。そもそも日本は「利用目的のないプルトニウムを持たない」との原則を2003年に定める。今後、原発が順次再稼働されるにせよ、電力に占める原発比率が3.11以前の水準に回復することは考えにくい。しかも、原発の新増設は極めて困難だ。

 その中で核燃料サイクルを優遇すれば、フォンヒッペル氏が警告するように、日本が使うあてのないプルトニウムをさらに持て余す事態を引き寄せることになることが懸念される。<取材・文/斉藤円華>


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