検証「ハイスコアガール」著作権騒動――食い違う両社の主張。何が起きたのか。

黒木貴啓
ハイスコアガール

月刊ビッグガンガン公式サイトより

 著作物のゲームキャラクターを無断で複製使用したとして、SNKプレイモアがスクウェア・エニックスを刑事告発したことを8月6日に発表した。

 対象となっているのは、スクウェア・エニックスから出版されているマンガ「ハイスコアガール」(作:押切蓮介)。90年代のアーケードゲームの遊び場を舞台にした作品で、主人公らがプレイするゲームとして、SNKプレイモアの「キング・オブ・ファイターズ」なども登場していた。これを無断使用だと、同作の販売の即時停止をスクウェア・エニックスに再三申し入れたが、誠意ある対応がなされなかったという。

 同作品は2013年版「このマンガがすごい!」ではオトコ編で2位を獲得したほどの人気マンガで、2013年12月に第5巻が発売されると同時に、アニメ化も発表されていた。

 実在のゲームが登場するマンガは、1979年の「ゲームセンターあらし」(作:すがやみつる)以来、過去にいくつも出版されてきた。しかし今回ほどのトラブルはかつてなかった。いったいプレイモアとスクウェア・エニックスでは著作物の使用許諾に対しどのようなやりとりが行われたのか、両社へ電話で確認してみた。

SNKプレイモアの主張

 SNKプレイモアは公式リリースにおいて、スクウェア・エニックスに対して「なんら誠意ある対応がなされませんでした」「その侵害に厳格に対処すべき」「極めて悪質な本件行為を看過するわけには参りません」など厳しい口調だった。実際のやりとりの詳細は、「刑事告発に関しては警察に一任していて、スクウェア・エニックスとのやりとりについてはコメントを控える」という回答だった。

  ならば通常は、自社の著作物の使用許諾についてどう対応するのか。

「先方からちゃんと企画をいただいた上で、どう使用を許可するか企画ごとにケースバイケースで対応している。例えば映画でゲームキャラを使いたいと企画書を受け取り、作品に(C)をつけてもらうなど。一般常識的なやり方だと認識している」という。

スクウェア・エニックスの主張

 一方でスクウェア・エニックスの主張は食い違う。担当者は「向こうが主張する著作権利違反の事実はないと認識しているし、『誠意ある対応』はしてきたつもりだ。警察の捜査には協力していく」と話す。

「ハイスコアガール」の単行本の巻末には、登場したゲームの著作権を有するゲームメーカーの名前が、(C)つきでずらりとクレジット表記されている。その中にはSNKプレイモアの名前もある。ちなみに「(C)○○」なるクレジット表記は、作品の著作権を○○が持つと示すだけで、○○から使用許諾を得たという意味ではない。

 今回のSNKプレイモアとのやりとりについては「捜査が入っているためコメントを控える」との回答だった。

 ただし他社とのやりとりに関しては、「各社から使用許諾を得て載せいている。例えばカプコンの『ストリートファイターII』や、セガの『バーチャファイター』など」(担当者)。「どのような使用許諾の取り方をしたかはコメントできない」としながらも、バンダイナムコのゲーム「源平討魔伝」とのコラボTシャツなどさまざまなコラボ展開で、その都度メーカーから使用許諾は取ってきたという。

 刑事告発を受けてスクウェア・エニックスは、単行本の販売店からの回収と新規受注の差止めを決定。デジタル版も新規配信は差し止めに。そして「月刊ビッグガンガン」での連載も一時休載を発表した。

 次回、【2】では「ゲームセンターあらし」作者のすがやみつる氏が「マンガとゲームの関係」における時代ごとの変遷を語る。

⇒「ゲームセンターあらし」作者が語るマンガとゲームの関係の変化――検証「ハイスコアガール」著作権騒動【2】

<取材・文/黒木貴啓

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