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国際レコード産業連盟(IFPI)の発表によれば、2014年はCDなどの物理媒体の売り上げをダウンロードやストリーミングなどのデジタルの売り上げが初めて上回り、世界の音楽市場は大きな変動を見せている。
中でも注目なのは、Spotifyなどに代表されるサブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービスであり、前出のIFPI発表でも売り上げ、利用者数ともに大幅に増加傾向にあるとされている。
しかし、そんな中でも、日本は特殊な国であった。その理由はいくつかある。一つには、日本は依然としてCDなどの物理媒体が音楽の売り上げに占める割合が大きいこと。また、そうした物理媒体であるCDのレンタルサービスという独特の文化が存在していること。また、楽曲コンテンツの権利がレーベルやプロダクションなどに分散され、配信の際の手続きが煩雑化しやすいことなどがあった。
ところが、ここに来て日本国内でもついにこうしたサブスクリプション型の音楽ストリーミングサービスが地位を確立する機運が高まってきた。
きっかけとなったのは、国内勢とApple、すなわちエイベックス・デジタルとサイバーエージェントが手掛ける『AWA』や、LINEが手掛ける『LINE MUSIC』、Appleの『Apple Music』の参入である。
また、音楽リスナーの視聴形態にも大きく変化が出てきている。
民間の調査機関、トレンド総研によれば、15歳~49歳の男女500名を対象に行なった音楽聴取方法に関する実態調査では全年代、全シーンを通じて「スマートフォン」利用が高い割合となった。シーン別でも自宅では「パソコン」が56%、「スマートフォン」が42%と高い割合を見せる一方で、「CDプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(35%)、「MDプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(34%)、「デジタルオーディオプレイヤー(ポータブルプレイヤーを含む)」(24%)が「使わなくなった」と回答しており、音楽の聴取形態が確実に変わってきていることが改めて明らかになったという。
また、同機関は日本発の音楽配信サービスとして、コンテンツホルダーであるエイベックスと数々のプラットフォーム事業を手がけてきたサイバーエージェントがタッグを組んだ『AWA』に注目し、同サービスの取締役/プロデューサーである小野哲太郎氏にインタビューを行っている。
インタビューで小野氏は、今後の日本の音楽市場について「音楽と出会う機会の減少と、視聴形態の変化や、その変化に事業者やビジネスモデルが追い付いていないという課題はあるものの、日本の音楽市場は世界的に見ても最大規模であり、今もなおCDを購入する人が多くいることからも、音楽コンテンツにお金を払う人がたくさんいて土壌は成熟している」と語っている。
洗練されたUIに加え、作成者のストーリーが反映された「プレイリスト」に、楽曲の波形データなども含めて分析し、独自のアルゴリズムを搭載した「リコメンドエンジン」を掛け合わせるなどコンテンツホルダーとプラットフォーム提供者のタッグが存分に活かされた『AWA』を筆頭に、コミュニケーションツールとの連動を活かせる『LINE MUSIC』や、洋楽好きに訴求しそうな『Apple Music』と、ユーザーの好みによってサービスの選択肢も増えた今、日本におけるサブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービスがいよいよ急成長していきそうな気配であることは間違いない。
<取材・文/HBO取材班>