「今の世の中に夢や希望を持てない人」につけるクスリ

【石原壮一郎の名言に訊け】~のび太の巻 Q:これからの日本は、ますます高齢化社会や格差社会が進んでいくのは確実だ。経済成長も頭打ちだし、凶悪な犯罪だって増える一方だろう。勤勉さや思いやりといった日本人の良さは、どんどん失われている。こんなろくでもない世の中に生まれた自分は、本当に運が悪い。高度経済成長をぬくぬく生きてきた大人の奴らは、何かというと「もっと夢を抱け」「未来に希望を持て」みたいなことを言うけど、どう持てばいいんだ。終戦直後みたいな混乱した世の中のほうが、可能性がたくさんあったし夢や希望も抱きやすかったに違いない。ああ、そっちに生まれたかった。(東京都・26歳・フリーター) 絶望する男A:おやおや、絵に描いたようなおバカさんな相談が来ましたね。絵じゃなくて文字ですけど。ただ、ここまで極端じゃなくても、「今の世の中」を呪っている人は少なくなさそうです。喫茶「いしはら」のカウンターでは、大家さんの息子で超しっかりしている小学6年生のしんちゃんが宿題をしているので、こういう大人をどう思うか聞いてみましょう。  ああ、いるよね、こういう人。僕は、今の日本に生まれて、すごくラッキーだと思ってるけどね。そりゃ、悪いところを探せばキリがないけど、安全だし平和だし便利だし食べるものにも困らない。理想的な世の中だよね。なのに文句ばっかり言ってる大人って何なの? 何が欲しいの? 文句言うのが偉いと思ってんの?  小学生に言われたくないだろうけど、この人ほど今の世の中に生まれてラッキーだった人はいないんじゃないかなあ。もし終戦直後に生まれていたら、夢や希望どころか、たぶん生きていられないよね。生きていられたとしても、きっと夢や希望なんて抱かないし、可能性を求めて努力したりもしないよね。だって、こんなに誰にでも可能性が与えられている世の中に生まれているのに、ないものねだりばっかりしてるんだもん。  僕の大好きな『ドラえもん』の中で、のび太がこんなことを言ってるよ。 「今の時代が気にいらないとこぼしてるだけじゃなんにもならない。ぼくらのすんでるこの時代を少しでもよくするためがんばらなくちゃ」  クラスにもいてさあ。「○組の担任の先生はハズレだ」とか「ウチの学校は環境に恵まれていない」とか言っているヤツらが。お母さんがそう言ってるんだと思うけど、そういうヤツってクラスの雰囲気を悪くするばっかりで、自分じゃ何にもしようとしないんだよね。そういうことを子どもに吹き込むお母さんも含めて、お前らがいることがこそがハズレで、お前らこそが環境を悪くしている原因だよ。ごめん、ちょっと言い過ぎちゃった。  この人、本当は世の中じゃなくて自分に幻滅してるんじゃないかな。慰めになるかどうかわからないけど、のび太はこうも言っているよ。「一番いけないのは、自分なんかだめだと思い込むことだよ」って。のび太だってがんばってるんだから、おにいさんもがんばってよ。

【今回の大人メソッド】夢や希望や理想は「今できること」の先にある

 夢や希望を抱いたり理想を語ったりするのは、まあ簡単です。しかし、一足飛びにそれをつかむ方法はありません。とりあえず、今の自分にできるのは「今できること」だけです。何をやるかは十分に考えるとして、「今できること」を一生懸命にやって、少しずつ自分を成長させたり環境を変えていったりしましょう。焦りは禁物ですが、諦めも禁物です。 【相談募集中!】ツイッターで石原壮一郎さんのアカウント(@otonaryoku )に、簡単な相談内容を書いて呼びかけてください。 いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
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