預金封鎖が現実味を増してきたギリシャ、富裕層の高級車購入が増加
エクスパンシオン』によれば、<1月にシリザ政権が誕生した時、1月と2月で200億ユーロ(2兆7,600億円)が国外に流出された。これはギリシャのGDP1,824億ユーロ(25兆1710億円)のおよそ10%に相当する額である。3月には10億ユーロ(1380億円)、そしてデフォルトの噂が流れた頃合に更に5億ユーロ(690億円)が流出した>という。
これから更に資金の国外流出が続くと、ギリシャの銀行は「預金の引出し制限」をせざる得なくなる可能性がある。
ギリシャの同盟国であるキプロスは、2013年にデフォルトに陥った時に10万ユーロ(1380万円)以上の預金者には特別課税を政府が課して80億ユーロ(1兆1040億円)の税収を得たという実例があるのだ。ギリシャの富裕者はギリシャ政府が同じようなことを実施するのではないかと懸念している。前出の『エクスパンシオン紙』は、<メルセーデス車を購入し、更に資金操作のコンサルタントに相談してルクセンブルグに資金を移動させた>というギリシア富裕層の例を挙げているが、この例にもあるように実際に車の販売が増加しているという。<3月は前月比で47.2%、4月は27.9%という率で車の販売が増加した>(同紙)というのだ。
似たようなケースはロシアでも起きた。制裁後にロシア通貨ルーブルが下落を始めた途端に、ポルシェなど高級車の販売が急増したのだ。貨幣価値の下落を防止する意味で宝石を購入するように、高級車を買うというわけだ。大衆車では購入した時点から価値は下がる。しかし高級車はその価値が永続するからだという。
<文/白石和幸 photo by Ben on flickr (CC BY-SA 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
今月13-14日のギリシャ政府とユーロ圏財務相会合(ユーログループ)との交渉は合意に至らずに終わった。
問題は、ユーログループがギリシャに対し20億ユーロ(2760億円)の歳出削減を年金減額と消費税の増税によって達成させようとする考えに、ギリシャ政府は断固それを拒否しているという点だ。チプラス首相はユーログループの要求を受け入れる代わりに、債務の減免を要求したという。
現在のギリシャ経済は、欧州中央銀行(ECB)からの緊急流動性支援金(ELA)のお蔭で支えられているといっても過言ではない。ギリシャがECBからこれまで受けた支援額は780億ユーロ(10兆7640億円)だ。ECBはその限度額を現在807億ユーロ(11兆1365億円)に引き上げ設定しているという。
しかし、ギリシャから資金の外国への流出が留まることなく続いている。スペイン紙『
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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