photo by Filip Pticek(CC.BY 2.0)
朝、目覚まし時計のアラームとともに目を覚まし、出社の身支度をする。だけど、なんとなく疲れている。気が乗らない。会社に行きたくない……。ビジネスマンなら誰しも一度はそんな経験をしたことがあるだろう。
目覚めのとき、どうにもスカッと目が覚めず、なんとなく憂鬱な気分になってしまう。その原因について、睡眠に関する著書を多数持つ、“睡眠のプロ”菅原洋平氏は「目覚まし時計による『強制覚醒』が原因」と語る。
菅原洋平先生
「音の目覚まし時計で起きることを睡眠学では、『強制覚醒』と呼びます。強制覚醒にはコルチゾールというステロイドホルモンを急激に増やす作用があり、これは、人を急に憂鬱な気分、いわばうつ病と同じ状態にさせてしまいます。朝、無理やり起こされて、憂鬱な気分になるのはこれが原因です。
一方、コルチゾールを出し、血圧血糖値を上げて目覚めることを『自己覚醒』と呼びます。大事なのは、
前回(※)述べたように、しっかりと起床リズムをつくって『自己覚醒』を促すこと。人間の体は、起きる3時間前からコルチゾールを分泌して起床準備をするのです」
※「寝だめは良くない」は間違い!? 正しい「寝だめ」の取り方
とはいえ、目覚まし時計を使わずに起きるのは常識的に考えて相当困難な話に思える。だが、菅原氏は「人間がスッキリ目覚めるためには重要なリズムがある」と語る。
「人間には大きく3つの生体リズムがあり、そのなかのひとつを『メラトニンリズム』と呼びます。人間が目覚めてから眠り再び目覚めるまでのスパンを“位相”と言うのですが、その位相を決めるのがメラトニンという物質です。
光を使った目覚まし時計には「エナジーライト inti(インテイ)」(http://intiinti.com/inti/)などがある
メラトニンは日の光を浴びると減少します。メラトニンが減少するに従い、人は目が覚め、そして16時間後に自然と眠くなります。なので、重要なことは朝、日の光を浴びること。部屋のカーテンを開けたり、朝、日の光が当たるようにベッドの位置を調整したりしてください。
また、最近ではアラームの替わりに光を使って目覚める目覚まし時計もあるので、そちらを活用することをオススメします」
目覚まし時計のアラームに頼らず、光で覚醒することが、スッキリ目覚める要なのだ。
<取材・文/HBO編集部 photo by
Filip Pticek on flickr>