iPhoneにもついに魔の手が!ネットに溢れる詐欺アプリの実態

 自由度の高いGoogle playと違い、App Storeは、Appleの厳しい審査に守られ、詐欺アプリが出回ることはまずないと思われていた。だが近頃、その監視網をかいくぐったiPhone用ワンクリック詐欺アプリが見つかり、ネット上がざわついている。

アダルトサイトに埋め込まれた詐欺アプリ

 詐欺アプリを見つけ警鐘を鳴らしているのは、「ノートン」などセキュリティソフトを開発しているシマンテック。同社の報告によると、この詐欺アプリは、社内専用アプリを作成する時に使われる「iOS Developer Enterprise Program」を介して配布されたのではないかと推測している。プログラムを利用するには、年会費299ドルとAppleへの登録が必要なため、悪用する者はいないと思われていたが、逆にそこが盲点となったようだ。  この詐欺アプリが仕込まれていたのは、アダルトサイト。サイト内にある動画再生ボタンをクリックすると、アプリのインストールを求められ、アプリ起動後しばらくすると、サイト会員に登録したとして、法外な利用料金を請求されるという仕組みだ。  もちろん、支払う必要はないので、請求は無視すればいい。また、このアプリは、デバイス内の情報を収集する機能はないので、すみやかにアプリをアンインストールすれば問題はない。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=45535
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詐欺アプリによる請求画面  ※シマンテック公式ブログより

ワンクリック詐欺の新たな手口

 今回見つかった詐欺アプリは、それほど有害な機能はなかったようだ。しかし、この手の詐欺アプリには、悪質なものが多く存在する。以下にあげるものは、「ウィルスバスター」などを手がけるトレンドマイクロが確認したワンクリック詐欺ウェアの動作だ。 01:端末のメールアドレス、電話番号、端末IDを取得する 02:取得した情報を特定のサーバへ送信する 03:タイマー機能を利用して定期的にユーザを不正なサイトへアクセスさせ請求画面を表示する 04:請求画面の表示時にシャッター音を鳴らしたり、バイブ機能を用いて定期的に振動する 05:GPSを用いて位置情報を取得する  また、今年4月にIPA(情報処理推進機構)が発表した「スマートフォンでのワンクリック請求の新しい手口にご用心」というレポートでは、ワンクリック詐欺の新たな手口として、次のものを紹介している。 01:請求画面が表示された時にシャッター音が聞こえる 02:自動的に電話を発信させる  どちらのレポートにも「シャッター音」のことが書かれているが、これは、請求画面が表示された時にシャッター音が鳴らされるというもの。アダルトサイトを見ていて、急に請求画面が表れ、さらにカメラのシャッター音が鳴らされれば、誰だって動揺するに違いないだろう。  しかし、IPAが「ウェブサイトの閲覧だけでは、スマホのカメラ機能を制御したり、撮影した写真をネットワーク経由で送信したりすることはできない」と言及しているように、これは、あくまで閲覧者を動揺させる手段であり、実際にカメラ機能が使われることはないようだ。  また、自動的に電話を発信させるウェブサイトにも注意が必要だ。詐欺サイトにアクセスすると、登録に関するポップアップメッセージが自動的に現れる。登録を進めていくと、電話発信を確認するポップアップが表示され、うっかり電話発信をすると、詐欺師に電話番号を知られてしまうというもの。  確実に電話番号を取得するため、電話番号の先頭には「186」が追加されており、こちらが電話番号を非通知設定にしていても、相手に電話番号を知られてしまうものもあるというから、厄介だ。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=45536
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登録完了画面の出現から電話発信確認のポップアップ表示までの流れ  ※IPA(情報処理推進機構)より

ワンクリック詐欺への対処法

 このような詐欺にあった時、一番危険なのは、動揺し、詐欺師の手中にハマってしまうこと。業者に連絡を取らないのはもちろんのこと、次のことに気をつけてもらいたい。 01:請求は無視する 02:業者に連絡を取らない 03:詐欺アプリをアンインストールする 04:ブラウザーのタブと履歴をすべて消去する 以上だ。それでも、心配でしょうがないという人は、国民生活センター(0570-064-370)に相談するというのもいいだろう。  しかし、なによりも有効なのは、対処策ではなく予防策であり、「アダルトサイトを閲覧しない」ということに勝るものはない気もするのだが。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=45537
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人気スマホゲームのタイトルを銘打った、いわゆる“リセマラ”系アプリは、最近よく問題になっている

<文・図版/小枝祐基 Twitter:@k_eda【小枝祐基】 スマートフォンやPC関連の取材・記事執筆を精力的に行うライター。白物家電やデジタルガジェットなどのレビューもこなす。共著に『docomo iPhone 6 Plus 完全活用マニュアル(ソシム)』『Pepper スタートブック(SBクリエイティブ)』など。
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