AKB総選挙に見る「カリスマ」タイプの裏側

― 原田まりるの「エニアグラムで見るニュース」第2回 ―

写真/HBO取材班

 6月6日、福岡ヤフオク!ドームにて開催されたAKB48 41st選抜総選挙にて指原莉乃さんが1位に返り咲いた。そして今年の12月に卒業予定の高橋みなみさんが前回の9位より順位を上げ4位にランクインした。  高橋みなみさんは、4位獲得の際のスピーチで「人生っていうのはね、きっと矛盾と戦うものなんだと思います」、「努力は必ず報われると、私高橋みなみはこれからも人生をもって証明します」と高橋みなみさんらしい熱い言葉をもってランクインできなかったメンバー達をも気づかった励ましの言葉を送った。  そのスピーチの中では、彼女が活動するにあたって感じていた、“頑張っても自身の力では1位になれない”という葛藤について、前田敦子さんや大島優子さんの名前を出し「みんなすごくて、カリスマ性があって、絶対的な人気があって」と述べた。  高橋みなみさんの仲間思いで、真っ直ぐひたむきに努力する姿は充分カリスマ性に溢れていると思うが、結果にコミットする、という意味でのカリスマ性に溢れた人物は、日常生活の中でも見かけるのではないだろうか。  例えば、学校で一心に勉強している素振りなく結果を出す秀才であるとか、社内で容姿も優れていて、仕事もサラっとやってのける上司など「デキる」といった意味で憧れられる存在はどのような集団にも存在するものだ。

カリスマ的存在はエニアグラムでは「タイプ3」

原田まりる

原田まりる

 エニアグラム(性格類型論)においても、努力する素振りを見せずに、サラリと結果を出すスマートさを重要視しているタイプというものがある。「タイプ3」といわれるタイプだ。このタイプの特徴は「スマートで気張った様子なく結果を出せる有能な自分を演出する」、「周囲からの賞賛を欲しがるため表立って努力を見せない」、「影で努力しすぎる分、ワーカーホリックになりがち」といった面である。  プロ意識やエリート志向が強く、結果を追い求めるこのタイプは目標を達成するためならば手段を選ばないところもあるので、周囲の人を駒のように使うところもある。  また、遠まわしに自分のステイタス・学歴・年収などエリート具合をアピールしてくる一面や、人を出し抜く時があるので同僚や同性からは疎まれる場合があるのもこのタイプだ。  ただ、基本的には前向きで明るいので組織や上司からは重宝されることが多い。  もし周囲にこのようなタイプがいた場合は率直に「さすがスゴイですね」と褒めると本人のモチベーションは上がるうえに、褒めてくれる人を邪険にすることも無いので円滑な関係を築きやすいのである。

自分が「タイプ3」の場合、頑張りすぎに注意

 そして自分自身が、このタイプ3である場合は、仕事のし過ぎに注意することが必要となってくる。タイプ3はワーカーホリック気質であり、休むことで自分が遅れをとってしまうように感じることが多いので「休むことも仕事のうち」であると自分に言い聞かせて、休養をしっかりとることが大切といえる。  組織においても、AKB48の選抜メンバーを見ても、ガツガツしているわけではない人物が上位にランクインすることは珍しいことではない。がっついていないように見えるスマートな物腰の人物ほど、好成績を残している場合があるが、そのような人物は、努力を表には持ちこまず、影で行うことによって“自分像”を上手く演出する“セルフプロデュース能力”に長けているのではないだろうか。そのようなセルフプロデュースの決勝がカリスマ性となって、人々を魅了し続けているのである。 <文/原田まりる Twitter ID:@HaraDA_MariRU> 85年生まれ。京都市出身。作家・哲学書ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。元レースクイーン。男装ユニット「風男塾」の元メンバー。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。ホームページ(https://haradamariru.amebaownd.com/
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