ZARAの製品、日本では本国の1.6倍、韓国では2倍で販売。スペイン紙報じる
エル コンフィデンシアル」に興味を引く調査結果が掲載されたのだ。
同紙が掲載した調査は、モルガン・スタンレーがリサーチ会社アルファ・ワイズに委託して、ZARAのひとつの商品が世界で幾らの価格で販売されているかを比較調査したものだ。アイテムは14のオンラインを通して7,000アイテムから調査したものだという。
ちなみに、ZARAのひとつのアイテムのコード番号は世界共通で使われているというため、この調査は意外と容易だったという。
そして、気になるのは調査結果である。
この調査によると、スペインで(100)として販売されている商品が、フランス(122)、ドイツとイタリア(124)、トルコ(131)、ポーランド(133)、英国(147)、メキシコ(148)、インド(153)、日本(162)、ロシア(176)、中国(178)、米国(192)、韓国(196)と、異なった価格で市販されているということが判明した。
米国と韓国ではスペインでの小売価格のほぼ2倍で販売されているということになるわけだ。
ただ、同紙によれば、<スペインの場合には地元ということで他国にない優位な面が価格に影響しているため、むしろ、比較基準としてドイツまたはフランスを(100)と見て比較する方が意味ある比較になる>という。
また同じ調査の中で、直近の2会計年度を基準にして店舗の開設数の比較をしている。それによると、上位5か国はロシアの124店で、続いて中国105店、メキシコ58店、ポーランド50店、トルコ47店という順になっている。日本はその次の6位で、41店が開店したと統計されているという。
この出店数という意味で注目に値いするのは中国への進出である。
ZARAが誕生したガリシア州の代表紙「ラ・ボス・デ・ガリシア」は、<2006年に上海に最初に出店して以来、現在まで60の都市に500店舗を構えるまでに成長している>と報じている。
ZARAの創業者アマンシオ・オルテガが全幅の信頼を置いて経営を任せている、CEOのパブロ・イスラが、ZARAの総括会社インディテックスの経営者となった2005年から比較して、<当時のインディテックスの株式時価総額は140億ユーロ(1兆9,600億円)であったのが、現在940億ユーロ(13兆1,600億円)になっている>と指摘し、その中で代表格の<ZARAの昨年度の年商は116億ユーロ(1兆6,240億円)、そして最近10年間の投資額は107億ユーロ(1兆4,980億円)>と報じている(「ラ・ボス・デ・ガリシア」。
急成長を遂げるZARA。その背景には、国ごとに綿密に練られた価格戦略があるのかもしれない。
<文/白石和幸 photo by art_directter on photozou(CC BY-SA 2.1 JP)>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
アメリカのアウトドアブランド、「パタゴニア」の製品が日本では本国よりも高く販売され、海外ショップからの個人輸入もできないのは有名な話だ。
それと同じような話が、ハーバー・ビジネス・オンラインでも5月に4回にわたる連載にて紹介した「ZARA」でもあるようだ。
6月3日、スペイン電子紙「
中国への出店を急速に伸ばすZARA
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
ハッシュタグ