なぜ中国で日本製紙おむつがヒットしたのか?

高口康太
日本製紙おむつ「花王の紙おむつ、高値で買い取ります。1個でも大量でも」  東京のある中国食材店に貼られていたチラシだ。実は今、中国では花王の紙おむつ「メリーズ」が大人気。目ざとい在日中国人の間ではドラッグストアで買い占めたおむつを中国に転売するのがおいしい副業になっている。話を聞いたある在日中国人ビジネスマンはバイトを使って買い漁り、毎月コンテナ1個分を転売しているという。小売店で買い漁るというあまりにも頭の悪いやり方だが、中国での転売価格は日本の倍に達するケースもあり、十分に儲かるお仕事だという。  なぜこんな効率の悪い商売がなりたつのか。 「毒食品の国・中国」の製品を一番恐れているのは中国人自身。自分たちは我慢してもかわいい赤ちゃんには外国製品を使わせたいと考えるのは親心だ。一応、正規ルートの輸入品もあるのだが、関税で高かったりニセモノが混じっていて信頼できないとのことで輸入品が好まれる。かくして「日本の一部地域でメリーズが欠品」とか、「中国人観光客がオランダのスーパーで粉ミルクを買い占めた、地元のお母さんが困ってます」といった不思議なニュースが誕生することになる。  という話を聞くと、安全な日本製品を持ち込めばなんでも売れるような気がするが、そう簡単にはいかない。例えば紙おむつにしても爆発的な人気を持つのは日本製品の中でも「メリーズ」だけ、なのだ。なにが発端なのかわからないが、「メリーズいいよね」という口コミが次第に広がり、今の人気につながったという。  海外製品ならばなんでも安全で大人気、ではない。海外製品という下地の上に口コミというプラスアルファが必要になる。特に、「検閲の国・中国」ではマスコミがあまり信頼されていない。トレンドを生み出すのはマスコミ以上に怪しげな口コミやネットの噂になるのである。うまく口コミを広げる方法を見つければひと儲けができそうなもの。だが、いわゆるステマ企業がごまんとある割に勝利の方程式は見つかっていない。日本ブランド、というだけで、ひと儲けするのもなかなかに難しいようだ。 <取材・文・写真/高口康太>
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