荒れる地方議会――無関心が生む地方議会の「闇」その4

菅野完
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大都市でこそ顕著な、地方議会の「ムラ化」

「外の人から言われて、初めて目が覚めました。これ、明確なパワハラですね」

「外の人」という表現が気になったので、この区議に問いただしてみた。

「区議会が始まれば、ほぼ、議員同士か、区の職員としか話さなくなる。区議会を傍聴するような区民はほとんどいない。自然と、外部の目から遠ざかってしまうんです」

 確かにそうだ。筆者とて、区議会を傍聴した経験など数えるほどしかない。町内会活動や市民運動の一環で区議会議員と話し合いや折衝をすることはあっても、議会運営の現場を観察するわけでもない。

本サイトでも地方自治の崩壊は別の角度からも報じている

 また、他の区議は、東京特有の「地方紙の不在」という問題を指摘してくれた。

「東京には地方紙がない。地方にいくと地方紙があって地方自治のいろんな話題を書き続けている。でも東京には地方紙がない。地方議会の動向を伝えるのは全国紙の東京都心版だけ。2面ほどのスペースで、23区すべての区政の話なんて扱えるわけないし……」

 確かに東京には地方紙がない。そして大阪にもこれといった地方紙はない。市民の関心も低ければ、地方紙も存在しないとなると、議会はほぼ完全にノーチェックの状態になる。

「地方紙もないし有権者の関心も低い、だからどんどん特殊になって、『ムラ化』していくんです。ほんとはダメなんですけどね……」

 この区議は有権者に十分な情報発信ができていない現状や、魅力的な議会作りができていないことを真摯に反省するが、筆者はそうは思わない。もちろん、魅力ある議会作りは議員側の責任ではあろう。だが、議会をノーチェックのまま放置している責任は、我々、有権者側にある。議員だけでできる仕事ではないのだ。

 もし、東京にも地方紙があり、区民も議会に興味を持って注視していれば、うかい議員による暴言や、井筒議員によるパワーハラスメントなどの、およそ一般社会で許容されない行為は、真っ先に糾弾されていたであろう。地方紙だって書きまくっていたにちがいない。

 しかし、大都市特有の市民の関心の低さと、地方紙の不在が同居する東京と大阪では、このメカニズムが動かない。必然的に、東京と大阪の地方議会はどんどん特殊な形態になってしまう。

地方議会の「闇」をなくすには

 この流れを止めるには、まず、常日頃から、市民が積極的に地方議会に関与していくしかない。

 いまさらいうまでもない言い古された月並みな解決策であることは、十分、理解している。しかし、やはりこれしかないのだ。奇をてらった解決策は結果の成否を問わず、殺伐とした風景しか生まないことは、「大阪都構想」のドタバタ劇で学んだではないか。

 地に足ついた実直な方法で、政治に参画し続けよう。そして、「公正で開かれた議論」が議会で行われるよう、地方議会を議員と一緒に守り育てていこう。

 おそらくそれが、誰かを叩く姿を見せることで自分の正当性を保持しようとする浅ましい考え方を排し、公正で開かれた議論という民主主義の根幹を守り続けられる、唯一の方法なのではないか。

<文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)>

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