荒れる地方議会――無関心が生む地方議会の「闇」その2
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先日の統一地方選では、都内45の区市町村で議会選挙が行われた。これらの選挙の平均投票率は43.99%の低水準にとどまった。選挙ですらこの無関心ぶりである。議会運営となると興味を寄せる有権者はさらに少なくなる。
区民が関心を寄せないなか、いま、東京各地の地方議会で、「公正で開かれた議論」を阻害するような、「言論統制議会」ともいうべき動きが相次いでいる。
例えば世田谷区議会では、自民党と公明党の会派が突如、これまで各会派とも一律10分と決められていた委員長報告への質問時間を、少数会派に限って短縮する提案を行っている。これでは少数会派を狙い撃ちにした言論統制である。
こうした、議会における言論統制の、最も顕著な例が、港区だろう。
港区議会の異様とも言える議会運営については、ここ最近、報道が相次いでいる。2014年12月には、東洋経済オンラインが「港区議会が、議員の取材対応を制限していた」と題するリポート(http://toyokeizai.net/articles/-/56961)で港区議会が設けた「議員による取材対応の原則禁止ルール」の異常性について詳細に伝えた。また、今月19日には、ハフィントンポストが「東京・港区議会で”言論の自由”求め、若手中心の新会派結成 自民、公明、共産は猛反発」(http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/17/minatokugikai_n_7301136.html)なるレポートで、若手区議や新会派に対する古参議員らによる執拗な圧力について報じている。さらに、港区の若手区議の一人、横尾としなり議員(無所属 当選2回)は、自身のブログに「言論の自由を守り、多様性を尊重する議会を。新会派結成の理由と、議会基本条例の提案」(http://ecotoshi.jp/news/4992)と題するエントリーを発表し、古参議員たちによる一連の言論統制につき、当事者としての証言を残している。
先行報道と当事者証言がすでに存在するため、ここで詳細を記述することは控える。しかし、是非、上記リンクをたどり、内容を確認していただきたい。港区議会の異様な議会運営の様子をご理解いただけるはずだ。
筆者自身も、この異常事態について港区議会議員や議会関係者に取材を行った。取材に応じてくれた人々は異口同音に、これら一連の異様な議会運営には、自由民主党の井筒宣弘議員(前区議会議長)と、うかい雅彦議員(港区自民党議員団幹事長)の影響が大きいという。この二人による、恫喝まがいの議会運営がまかり通っていて、冷静な議論がし難い環境が出来上がっており、言論統制ともいうべき異様な議会運営の原因になっているというのだ。
⇒その3:あたりかまわず怒鳴りちらす、港区自民党幹事長(https://hbol.jp/41307)に続く
<文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)>
東京各地で相次ぐ「言論統制議会」
あまりにも異常な港区議会の運営
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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