ウクライナ問題はロシア株投資にどう影響を与えたか?

 ウクライナ問題が起きたことで、ロシア株式市場は大暴落した。ただ、裏を返せば、投資家にとっては絶好の買い場となっていたと言える。ところが、ロシアのプーチン大統領が欧州への融和姿勢を見せ始めると、5月上旬から反転し、3月の急落以前の水準に回復した。ただ、ウクライナ情勢如何に関わらず、ロシアの実体経済にも不透明感が伴う。

ウクライナ問題に揺れる魅惑のロシア株

 2月末、ロシアの株価指数は20%以上の急落となり、4年半ぶりの安値をつけた。理由はもちろん、プーチン大統領が突然、火をつけたウクライナ情勢だ。その後、5月上旬から反転し、3月の急落以前の水準に回復したが、まだまだ注目する要素はある。

「ロシア株はもともと非常に割安でした。市場平均PERで見るとロシアは4倍。日本の14倍に比べると非常に割安で、中国やインドと比べても割安感は際立っていました。ウクライナ情勢が緊迫して以降は、割安度合いがさらに強まっていました」

日米やほかのBRICs国と比べてもロシア株の平均PERは割安

日米やほかのBRICs国と比べてもロシア株の平均PERは割安。非効率な経営、プーチン大統領への警戒感などが背景にあるようだ

 そう解説してくれたのはロシア株を保有する個人投資家・浅草の賢人氏だ。BRICsの一角としても注目されたロシア。なぜこうも割安なのか。

「ロシア企業の生産性が低いためです。代表的な産業である石油にしても前時代的な採掘機器を使っているため、採掘効率が非常に悪い。それにプーチン大統領の権限が強く、その意向次第で状況が変わってしまうため、海外投資家も安心して参入しづらい」(元シティバンクの西原宏一氏)

PERは大底水準に。株価2倍の可能性も

 ウクライナ情勢が回復しても、PERが先進国並みになることはなさそうだが、それにしても、2014年6月時点でPERが5.5倍というのはまだまだ割安感がある。

「2月末に急落したときは3倍程度でしたが、これは過去最低に近い水準。過去にはPER10倍まで上がったことがありますから、ここからさらに株価が半額になる可能性よりも、2倍になる可能性のほうが大きいのは明らかでしょう」(浅草の賢人氏)

 RTS指数(ロシアの代表的な株価指数)は3年前の’11年頃は2100ドル台で推移。現在の1300ドル程度を考えると、上昇余地はまだまだ大きい。そこで、投資家として気になるのは、やはりプーチン大統領のご意向。戦争にでも発展しようものなら、とてもロシア株投資などできない。

RTS

プーチン大統領がクリミア半島に乗り出したことで、ロシアの株式市場は急落。市場平均PERも過去最低水準まで下げ、割安なバーゲンセール状態となっている

「ウクライナ情勢がさらに悪化する可能性は低いでしょう。プーチンもオバマもウクライナも、誰も武力衝突は望んでいません。一人あたりのGDPはロシアが1万4000ドルに対してウクライナは3分の1以下。ウクライナ本体を併合するだけの余裕はロシアにもない。あくまでも、今回は帝政ロシア時代からの悲願である『不凍港』の確保が目的。クリミア半島編入で、十分にその目的を達成しました」(西原氏)

 だが、暴君と呼ばれるプーチン大統領への国際世論の厳しい批判は日増しに強まっている。追加の過酷な経済制裁を受ければ、ロシア経済への打撃は大きい。

西原宏一氏

西原宏一氏

「これ以上の経済制裁も考えにくい。オバマ外交は“強気”ではなく、どっちつかず。欧州はエネルギーをロシアに依存していて、強気にはいきにくい。イギリスも金融面でロシアマネーとの結びつきが強く、関係を悪化させたくないのが本音でしょう」(同)

 とはいえ、リスクが完全にないわけではない。テールリスク(可能性は低いながらも影響が大きいリスク)として挙げられるのが、ウクライナ東部に住むロシア系住民の暴走である。

「彼らが武力蜂起でもすれば、プーチン大統領ですらコントロールできません。ウクライナは内戦状態に陥って泥沼化します。そのときは、ロシアの株式市場も急落するはずです」(同)

⇒【次回】『ウクライナ問題の急落以降、復活してきたロシア株。今後の狙い目は?』

【浅草の賢人氏】
個人投資家。サラリーマン投資家。’01年から投資を始め現在の資産は3000万円ほど。ロシアやアメリカ、中国など海外株投資の経験も豊富。http://ameblo.jp/peppermint/

【西原宏一氏】
為替ディーラー。シティバンクなどを経て独立。海外ヘッジファンド勢を中心に築いた独自の情報網で世界のマクロ経済に精通。http://www.ck-capital.jp/

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