自動車メーカーのメキシコ進出ラッシュ。増える日本人在留者のために日本語新聞も創刊

白石和幸
メキシコシティのタクシーで活躍する日産のTSURU

メキシコシティのタクシーで活躍する日産のTSURU/photo by Mj-bird(CC BY-SA 3.0)

 トヨタが4月にメキシコへの進出を正式に発表した。2019年からカローラを北米市場向けに生産する予定だ。

 メキシコは米国とカナダとは北米自由貿易協定(NAFTA)、そして、日本を含め世界45カ国とは自由貿易連携協定(FTA)を結んでいる。その為に、メキシコで生産して北米にフリーパスで輸出するというメリットをもっている。

 しかも、メキシコの労働コストは中国やブラジルよりも安く、安定している。メキシコに日本から自動車生産で進出したパイオニアは日産だ。同社は1959年にメキシコに進出している。そのお蔭で日本の自動車メーカーの知名度も高く、南米のアメリカ•エコノミア紙によると、<昨年の同社の生産台数はメキシコでナンバーワン>で、<生産台数は805,871台で、今年は810,00台を目標にしている>という(http://www.americaeconomia.com/negocios-industrias/nissan-mexico-anticipa-nuevo-record-en-produccion-y-exportacion-de-autos-en-2015)。

 現在、メキシコの自動車生産台数は年間300万台で、ブラジルと肩を並べるまでに成長している。ここ最近のブラジルの経済低迷もあり、メキシコの自動車の生産台数は、近くブラジルを追い抜き中南米でトップになるのは間近だ。

 こうした状況を受けて、日産にトヨタ、そしてホンダも第2工場を建設し、マツダも第1工場を建設するなど日本の自動車メーカー進出ラッシュとなっているのだ。

 そして、この工場進出に伴い、「日本人移民」が激増している。自動車メーカーが進出すれば、そのパーツメーカーも一緒について来る。それに伴って、日本人社員も家族連れの「民族移動」になっているというわけだ。メキシコのエル•エコノミスタ紙によると、<メキシコに在住している日本人は15,000人。日本の自動車メーカーとパーツメーカーが進出しているグアナフアト州では、急激に日本人が増え、現在3,800人が在住している>という。2010年までは同州に住む日本人は、<僅か120人だった>という(http://eleconomista.com.mx/estados/2015/01/28/alistan-bajio-4-complejos-habitacionales-japoneses)。この先、日本人の数が5000人まで増えるのも時間の問題だと言われている。

 また同紙は、3つの州に日本企業と日本人が集まっていると指摘し、<グアナフアト州には100社、アグアカリエンテス州に74社、ケレタロー州に30社がそれぞれ所在。ホンダとマツダが進出しているグアナフアト州では、これまで40億ドル(4,720億円)が投資され、26,000人の現地人の雇用に繋がっている。アグアカリエンテス州は50億ドル(5,900億円)の投資、雇用12,000人、ケレタロー州では投資5億ドル(590億円)、4,000人の雇用に繋がっている>と報じている(http://eleconomista.com.mx/estados/2015/01/28/alistan-bajio-4-complejos-habitacionales-japoneses

 日本政府は外国のどの都市でも3000人前後の在留邦人が生活するようになると、領事館を設置するようになっている。上述3州の邦人の急激な増加に対応するために、レオン市に日本領事館を今年から設置することになっている。また工場の近くに日本人の為の住宅建設も進んでいるという。道路標識も日本語でも表記されるようになった。ホテルも建設されている。チップを置く習慣の無い日本人向けに<「チップをお忘れなく」>という大きなカードをホテルのレストランに立てた、その写真もある紙面に掲載されたこともある。

 さらに同氏が報じたところによれば、なんと<5月15日からは日本語の新聞も発行される>という。<初版は1000部で、それ以後は2,800部を刷る予定>だという。<16ページの紙面で、スポーツ、文化、財政、観光などを取り上げる予定だ。記事の作成には日本からの応援も予定している>という。(http://eleconomista.com.mx/estados/2015/03/23/guanajuato-tendra-diario-japones

 支食常長をリーダーとする使節(慶長遣欧使節団)が1613年にメキシコの地を一旦踏み、そこからスペインに赴いた。それから400年年経過した今、日本人が今度は大集団となってまたメキシコの地を踏んでいる。 <文/白石和幸>

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