楽天も決済に導入。ビットコインの現状は?

ビットコイン

マウントゴックスの騒動も、世界的にはそれほどの影響は見られないという

 昨年、世界最大級の取引所だったマウントゴックス社の破たんにより、日本ではネガティブなイメージが根付いたビットコイン。ところが今年、通販大手の楽天が米国サイトにてビットコインでの決済を導入すると決定した。マウントゴックス社の破たんで世間の関心は薄れたように思えたが、なぜ、このように活用する企業が増えているのだろうか? 「勘違いしている人も多いと思いますが、マウントゴックス社のビットコイン消失の主な原因は、システムの脆弱性ではありません。実際には、社内システムの不正操作との見方が濃厚になっています」  そう話すのは、仮想通貨を研究する慶應義塾大学SFC研究所上席所員の斉藤賢爾氏だ。つまり、仕組みそのものに欠陥があったわけではなく、内部事情に詳しい人間が顧客の資金を“横領”したとの疑いがあるという。そのため、海外では依然として活発に取引が行われ、下記のグラフのように、取引額も年々増え、小切手や電話送金などと同様に利用されている。 ⇒【グラフ】はこちら https://hbol.jp/?attachment_id=36935 ビットコイン「ビットコインのシステム全体の構造上、マウントゴックス社は現金との両替所でありビットコインのユーザーのひとつです。だから破たんによって、『逆にそれがシステム全体に影響を及ぼさない』ということが普通に判断できたためではないでしょうか」

2年前の人気の高ぶりは異常だった?

 とはいえ、今後、ビットコインのユーザーが爆発的に増えるのかというと、斉藤氏はそうではないとの見方を示す。 「’13年後半がむしろ異常だったわけで、当時は期待が高まりすぎていたのだと思います。実体経済と結びついているとは言えない以上、ビットコインの価格はほとんど期待感のみによって支えられています。だから、一時期の狂騒的な期待感が落ち着いた、ということかと思います」  とはいえ、やはり気になるのはその安全性だ。ハッキングなどにより、実際に利用したときに資産を失うことはないのか? 「安全性を比べるなら、ネットバンキングや電子マネーと実は同等のレベルです。ただ、ビットコインのセキュリティでもっとも大切な『プライベートキー』の守り方には気をつける必要があります。これは銀行印にあたり、不正アクセス対策のために、ネットワークから切り離せるディスクに置くなどのことも考えるべきでしょう」 【斉藤賢爾氏】 慶應義塾大学SFC研究所上席所員。『これでわかったビットコイン:生きのこる通貨の条件』など著書多数。「デジタル通貨」「デジタル市民社会」を主に研究 <取材・文/HBO取材班>
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