楽天参入で三国志の様相。「共通ポイント」業界が熱い
ファミリーマートとサークルKが統合に向けて協議を開始したことは記憶に新しい。少し前にはローソンが成城石井を買収するなど、コンビニ業界では競争が激化しつつある。そんななか、コンビニと切っても切れない存在である「共通ポイント」でも熾烈な争いが勃発していることをご存じだろうか?
共通ポイントとは、複数の店舗や企業で使うことができるポイントのことで、「Tポイント」と「Ponta」の両者が圧倒的な位置を築いていた共通ポイント業界に、楽天が殴りこみをかけたのだ。昨秋に「Rポイントカード」が登場。楽天スーパーポイントがサークルKやプロントなどのリアル店舗でも利用可能になったことで、「Tポイント・Ponta・Rポイントカード」の三つ巴合戦の火蓋が切って落とされた。この情勢を、前出の『ポイ探』社長の菊地崇仁氏は「共通ポイント三国志」と呼んでいるという。
「王者として君臨するのはTポイントです。ファミリーマートや『Yahoo!ショッピング』と提携し国内では最大規模。三国志でいう“魏”ですね。その背中を追うのがPonta。提携先にはローソンと『ホットペッパー』などを運営するリクルートが名を連ね、規模感では“呉”。新参者であるRポイントカードは、規模で劣る“蜀”ですが、ポテンシャルはかなり高い。私は、いずれTポイントを脅かす存在になるのではないかと思っています」
だが正直、Rポイントカードの知名度はかなり低く、後発感は否めない。いかにして絶対的王者を脅かすのだろうか?
「楽天はEコマースの分野での存在感がなんといってもダントツです。Yahoo!ショッピングやリクルートの『ポンパレモール』では力が及びません。そして、Tポイント連合にソフトバンクも参入したことが、将来的に不安材料になる可能性もあります」
昨年、ソフトバンクはケータイの利用額によって貯まるポイントを「SoftBankポイント」からTポイントに変更した。かつ、ファミリーマートやヤフーとともにTポイントへ出資している。資本関係を結ぶことによって連携はさらに強くなったと思われるが、不安材料とは一体?
「Tポイント陣営のなかで、サービスの重複が起きています。ソフトバンクもヤフーも同じような機能を持つクレジットカードを発行し、旅行サービスも『Yahoo!トラベル』と『Tトラベル』が存在している。いずれ亀裂が生じる可能性があります。その点、楽天は単独で展開し、人気の高いサービスが楽天スーパーポイントに紐付いているという強さがある」
また、菊地氏はソフトバンクらによるTポイントへの出資の“裏側”をこう説明する。
「共通ポイントの世界は、提携店の“寝返り”次第で一気に形勢が変わります。実は今年中に“大きな動きがある”と業界内では噂されており、ソフトバンクとTポイントが資本関係を結んだ背景には、こうした共通ポイント業界の事情があったのではないでしょうか」
さらに激しい戦いが予想される共通ポイント業界。Rポイントカードが暴れまわるのか、はたまたTポイント陣営が王者の威厳を見せるのか。もちろん、Ponta陣営も黙ってはいまい。天下を取るべく、リクルートとのお得なキャンペーンも打ち出してくるだろう。では、この激動の時代に我々ユーザーが得をする方法とは?
「競争激化はユーザーにとってメリット大。得する方法はシンプルです。どれも年会費無料ですから、3つとも持っておけばいい」
競争が激しくなれば、大々的なキャンペーンが予想される。どうやら、3つとも財布に忍ばせておいたほうがよさそうだ。
【Ponta(ローソン)】
今年5周年を迎えたPonta。「動きが鈍い気がします。リクルートポイントがPontaへ統合されましたが、予定より大幅に遅れました」と菊地氏。戦国乱世では少しの油断が命取りになりかねない……
【Tポイント(ファミリーマート)】
昨年、Tポイント付与率が「100円=1P」からステージ制へと改定。前月の買い物総額が1万5千円以上で「200円=3P」となったが、5000円未満は「200円=1P」。“改悪”と話題になった
【Rポイント(サークルK)】
ポテンシャルは高いが、ファミマとの統合でRポイント→Tポイントになる可能性も。「提携のコンビニがなくなることは大きなダメージ」と菊地氏。果たしてどうなる?
<取材・文/HBO取材班>
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