「ケイコ・フジモリ大統領」が登場したら、日本の対中南米外交戦略にも影響が

白石和幸

photo by Congreso de la República del Perú

 かつて日系人大統領がいたペルーで、再び日系人大統領が生まれそうな勢いだ。 4月19日、南米ペルーの主要紙『エル・コメルシオ』や『PRR』は『ペルーの大統領選挙が明日行なわるとしたら、ケイコ・フジモリ氏が勝利する』と報じたのだ。

⇒前編「ペルー次期大統領に、日系三世ケイコ・フジモリがなる可能性が浮上」

 ペルーは、メキシコ、チリ、コロンビアと一緒に太平洋同盟を設立している。この同盟は、4か国の間での自由貿易と外国市場との積極的な取引の推進を目的としている。安倍首相が昨年7月末から8月初めにかけて中南米を歴訪した際に、この4か国の中でメキシコとチリへの訪問は決めていたという。そして、もう一か国増やしたいという要望をコロンビア訪問で満たしたようだ。

 この背景にはちょっとした事情がある。

 筆者が掴んだ情報では、安倍首相はペルーへの訪問をしたいと考えていたという。ところが、ペルーは現在中国の投資が積極的で、中国にイニシアチブを握られている。それに、ペルーの鉱物資源(特に銅)の開発については、すでに日本企業が積極的に進出して鉱物資源の開発にあたっているチリで代用できる。それならば、ペルーで中国と張り合うよりも、中国の投資がまだ比較的少なく、現在日本と貿易自由連携協定の最終段階の交渉が進められているコロンビアのほうがメリットが大きいのではということで、安倍首相のブレーンがコロンビアを選んだのではないかと推測している。

 日本がこの先、中南米諸国との外交戦略を考えるとき、この選択は悪くはないと筆者は考えている。というのも、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラといったメルコスール(南米南部共同市場)のメンバーはどこも中国とのパイプがすでに強くなっている。そこで無理に張り合うよりは、まだ中国が十分に進出していないメキシコやコロンビアとの繋がりを重視するほうが合理的な選択肢だと考えているからだ。

 ただ、これが仮に、ケイコ・フジモリ氏が大統領が登場していたとしたら、安倍首相もペルーを訪問先に選んだ可能性は高いし、今後の日本の対中南米外交戦略も変わってくるのかもしれない。

<取材・文/白石和幸>

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