沖縄vs.安倍政権の対立激化!? 辺野古新基地反対の有識者、経済人、県議らが基金設立

辺野古基金

「辺野古基金」設立の記者会見に臨む 翁長雄志知事(中央)と、前嘉手納町長の宮城篤実氏(右)、金秀 グループの呉屋守将会長(左)

 辺野古新基地建設に反対する有識者や経済人や県議らが4月9日、那覇市内で記者会見を行い、「辺野古基金」の設立を発表した。賛同者から数億円(目標額)を集め、米政府や米議会への働きかけや意見広告掲載など新基地反対の世論喚起をすることが目的だ。  共同代表に就いたのは、元外務省主任分析官の佐藤優氏と俳優の故・菅原文太氏の妻・文子氏、金秀グループの呉屋守将会長、かりゆしグループの平良朝敬CEO(最高経営責任者)、沖縄ハム総合食品の長浜徳松会長、前嘉手納町長の宮城篤実氏の6人。

翁長知事「たいへん頼もしく、ありがたい」

 沖縄では昨年1月の名護市長選、11月の沖縄県知事選、12月の衆院選4小選挙区と、新基地反対派が連戦連勝。地元で明確に示された民意を無視する安倍政権の“暴走”を止めるべく、米国に沖縄の民意を直接伝えるというのが狙いだ。  具体的には、米政府関係者や上下両院の議員へのロビー活動を展開、シンポジウム開催や意見広告掲載などによって米国世論に訴える。また国内でも、全国の地方議会に安倍政権の強行姿勢を改める決議要請をするなどの活動も予定しているという。 「安倍政権の民主主義否定の姿勢を国内外に発信、国内で新基地反対の世論を盛り上げながら、米国をはじめとする国際世論も味方につけるというのが狙い。最近、フランスのルモンドが新基地問題を取り上げ、北欧のメデイアも沖縄に来るなど、辺野古問題への関心は海外で高まりつつあります」(地元記者)  記者会見には翁長雄志知事も参加。「たいへん頼もしく、ありがたい気持ち」と感謝、県外在住者の共同代表就任について知事はこう述べた。 「佐藤優さんはいろいろな形で(地元紙などの)論壇にも発表して沖縄の思いを国内に、あるいは世界に伝えようという努力をされています」 「菅原文太さんが沖縄への思いを選挙の時にしっかりと伝えていただきました。それから3週間後に亡くなったわけですが、偲ぶ会にいろいろな方々が参加、口々に沖縄で言ったことに賛同がありました。今日はお二人の名前を挙げさせていただきましたが、この裾野は大変大きいと思います」

資金確保しながら新基地建設反対の世論を喚起

 記者が「基金に関連して菅官房長官や安倍首相に訴えたいことは?」と聞くと、翁長知事は自信たっぷりにこう答えた。 「菅官房長官とは(4月5日に)ある意味でしっかりとお話をさせていただきました。総理とお会いできるのかはわかりませんが、(基金設立関連の)こういった報道はいろいろな形でされると思いますので、向こう(安倍政権)も情報収集をしっかりとされると思いますから、沖縄県民、あるいは沖縄県民の闘いを支持される方々の広がりをご理解していただけるのではないのかなと思っております」  安倍政権が強行姿勢を続けるのなら、「反対世論を県内外に世論を広げて対抗する」と宣戦布告したに等しい発言だ。地元記者はこう話す。 「辺野古基金は資金確保をしながら新基地建設反対の世論喚起をして、“安倍政権包囲網”を作ろうとする国民的運動ともいえます」  尖閣問題は東京都の募金を機に関心が高まったが、辺野古基金も同じような世論喚起効果が予想される。基金設立によって今後「沖縄vs.安倍政権」という対立がさらに強まりそうだ。 <取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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