沖縄の経済成長率は全国トップクラス。注目の“かりゆし銘柄”を徹底調査【後編】
2015.04.19
USJの進出報道もあって、ひときわ熱い視線を浴びている沖縄。調査すると、実は都道府県別経済成長率は全国トップクラスだったことが明らかに! 今後も値上がり期待大の“かりゆし銘柄”を緊急調査した。
⇒【前編】はこちら
足を確保したら、次は宿だ。
「意外な銘柄ですが明治海運(9115)が注目されます。ここの売上高の26%を占めるのがホテル事業。沖縄でもラグナガーデンホテルを展開しています。PERは6倍とかなり割安感があります」(マネックス証券フィナンシャル・インテリジェンス部マネジャーの益嶋裕氏)
もう一社、意外な会社がある。
「共立メンテナンス(9616)です。社員寮などの運営がメインですが、もうひとつの主力が『ドーミーイン』ブランドで展開するビジネスホテル。沖縄にビジネスホテルは似合わないですが、ザ・ビーチタワー那覇というリゾートホテルも運営しています」(SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏)
沖縄を訪れた観光客の消費に期待するならば、イチオシ銘柄は?
「沖縄小売業の覇者であるサンエー(2659)でしょう。県内で圧倒的なシェアを持っていますし、特徴的なのは本土の有名企業との協力。ローソンやマツモトキヨシ、タリーズコーヒー、東急ハンズなど有名企業が沖縄進出するとき、軒並みサンエーがパートナーとなっているんです」(益嶋氏)
サンエーは沖縄在住者なら誰もが利用する大手スーパーであり、ここの店舗で外国人による爆買いを目にすることも多い。とはいえ、PERは20倍を超えており割高感もある……。
「沖縄県の小売販売金額は’13年が前年比12.5%の伸びで全国トップ。’14年も6%で2位。那覇空港の第二滑走路建設で、今後も乗り入れが増加することを考えれば、まだまだ成長が期待できます」(同)
さらなる観光客増に伴い、サンエーの売上高も増えれば、PER20倍も決して割高とはいえないかも。
「インバウンドといえば、エディオンもサンエーと組んで沖縄に進出していますし、外国人にターゲットを絞ったラオックスも国際通りや那覇空港近郊のアウトレットモールに出店している。こうした企業も注目されます」(同)
このサンエーとともに、琉球銘柄の「スリートップ」を形成するのが沖縄電力(9511)と沖縄セルラー(9436)だ。
「震災後に電力各社が軒並み大幅な赤字に転落したなか、沖縄電力は一貫して黒字を確保しています。原発事故などのニュースが流れると電力株が売られやすいですが、沖縄電力は原発依存度ゼロ。原発関連の悪材料で、連れ下げしたところを拾うといいと思います。また、沖縄県人の携帯シェアの50%を握るのが沖縄セルラー。沖縄県の人口増加率は全国一で、人口ピラミッドを見ても若い世代が多く、今後の契約数増にも期待できる。配当利回りは2.3%で13期連続増配中なのも魅力」(同)
沖縄セルラーはPER14倍台で、’07年の高値3980円から見れば上値余地大。沖縄ブームに便乗すれば、ひと儲けできるかも!
<沖縄人気爆発で急騰必至!? のかりゆし銘柄>
●明治海運[東1・9115]
株価:391円/売買単位:100株/PER:5.8倍/PBR:1.4倍
⇒【グラフ】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=33777
商船三井系で、タンカーや自動車専用船を主力とする海運会社だが、不動産賃貸やホテルの運営も手掛ける。円安効果で1月に業績を上方修正し、’15年3月期は前期比55.6%の増益予想に
●共立メンテナンス[東1・9616]
株価:5510円/売買単位:100株/PER:19倍/PBR:2.49倍
⇒【グラフ】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=33778
企業の社員寮の運営と「ドーミーイン」ブランドのビジネスホテル運営が2本柱。’15年3月期は前期比5%の増収、同15.4%の増益予想。1月につけた年初来高値5816円は通過点となるか
●サンエー[東1・2659]
株価:4550円/売買単位:100株/PER:21倍/PBR:1.87倍
⇒【グラフ】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=33779
沖縄の流通最大手。スーパーが主軸で、ローソンと合弁でコンビニも展開。’15年2月期は前期比1.2%の増収、同4.1%の増益予想だが、沖縄の観光客数の増加を考えればさらなる成長余地アリ
●沖縄電力[東1・9511]
株価:4160円/売買単位:100株/PER:16倍/PBR:0.5倍
⇒【グラフ】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=33780
沖縄本島と周辺37島に電力供給。原発は保有せず、石炭・石油火力が主力だが、LNG火力を拡大中。’15年3月期は前期比3.1%の増収予想だが、高コストのLNGの影響で利益は7%減予想
【益嶋裕氏】
’08年にマネックス証券入社。マーケティング業務などを経て、’13年よりフィナンシャル・インテリジェンス部に。米国株のアナリスト業務を担当しながら、マーケット動向などをわかりやすく解説
【藤本誠之氏】
日興證券(現SMBC日興證券)、カブドットコム証券などを経て、SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストに。TV・ラジオなどの出演多数。その分析力の高さから「相場の福の神」の異名も
取材・文/高城泰(ミドルマン) 池垣完(本誌)
※株価は3月27日時点。PERは今期の予想利益を基に算出した予想PERを記載
沖縄小売業界の雄・サンエーに割高感ナシ
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