10年後も存在する商品を作っている企業・業界の銘柄を選べ!
最近、杉村氏は投資を始める上でどんな銘柄を選べばいいのかという質問を取材でよく受けるそうだ。その際には、決まって「10年後を考えて皆が使っているであろう商品を作っている企業、業界」と答えているという。
「例えば、10年後にファクスがあると思いますか? もちろん、あるという人もいるけど、正直言って僕はそうは思えない。それからデジタルカメラ。これだけ携帯付属のカメラが高性能になっていて、10年後に市場があるのかどうか。逆を言うとシャンプーはどうか。10年後、人間が髪を洗わなくなるかといえば、そんなことはないと思う。シャンプーは間違いなく存在するでしょう。そういう想像をしながら株を買ってみてください」(杉村氏)
杉村氏は投資するか否かの判断基準として、業績以外にもその企業が障碍者の雇用に積極的かどうかを気にしているという。
「あるいは社員を大事にしているか、離職率が低いかどうか。社会貢献活動に熱心に取り組んでいる会社には、ぜひ頑張ってもらいたい。その企業に世の中をよりよくしてもらいたいから株を買うわけで、その意味で投資は個人の社会貢献にも繋がる。大事なのは、その会社を好きになること。応援したくなる気持ちが湧いてきて初めて投資になる。これまでの私の経験では、そういう会社はまず潰れることはないし、多少の浮き沈みが多少あっても、結果的に株価も伸びてますよ」(杉村氏)
杉村氏によれば、証券会社時代の同僚をはじめ、株のプロはほとんど例外なく社長挨拶をチェックしているという
杉村氏が企業を調べる際に活用しているものの一つが、企業のHP。ただし、業績や財務状況をチェックするのかと思いきや、社長挨拶に注目するのだという。
「社長の言葉から、その企業理念や経営方針が読み取れるもの。特に社長の人となりは重要ですよ。例えば吉野家HDは前社長・新社長ともにバイト出身で、それだけに非正規労働者の立場も理解しているはずです。そういう人材が社長になれるような会社は、フリーター出身の私としてもぜひ応援したくなる。まあ、吉野家株は今のところ買ってないですけどね(笑)」(杉村氏)
ありきたりなことしか書いてないように見える社長挨拶だが、見る人が見れば違う情報が見えるのだ。
【杉村太蔵氏】
’79年、北海道旭川市生まれ。筑波大学中退後、派遣社員、証券会社勤務を経て、’05年の総選挙に自民党比例南関東ブロックから出馬、当時最年少(26歳)で初当選する。1期務めた後、現在は政界を離れ、会社経営のほか、タレントとして各種メディアでも活躍中で、TBS『サンデージャポン』などに出演。趣味はテニスで、国体で優勝するほどの腕前を持つ。二児の父。
取材・文/杉山大樹 撮影/落合星文
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