農産物で進む[世界的脱中国シフト]
期限切れ鶏肉輸入問題で、米マクドナルドは、米食肉大手OSIグループ傘下の「上海福喜食品」との取引を打ち切ることを発表したが、日本だけでなく、世界中のメディアがこぞって関連ニュースを取り上げている。
といっても、食品偽装は中国だけでなく全世界的に行われている。日本でも「成形肉」を使ったホテルのメニュー偽装は記憶に新しいし、アメリカでも国際的海洋保護団体「Oceana」が2010年から2012年にかけて行った魚のDNA調査で、調査対象となった全米21州の店舗の33%――とりわけすし店では74%が表示と別種の魚を提供していたという。
EUでも2012年末に「牛肉」が使われているはずのハンバーガーなどで馬肉の使用が判明。ルクセンブルクの食品工場Aが、フランスの食肉会社Bに牛ひき肉を発注し、Bはキプロスの卸会社Cに発注。Cはオランダの卸会社Dに、Dはルーマニアの食肉会社Eに発注。結局、EからBに納入されたのは馬肉だったが、Bが馬肉の表示を牛肉に書き換えてAに納入――。複雑すぎてワケがわからないが、確かに世界中で食品偽装は行われている。
にもかかわらず、中国産食品に対するイメージは突出して悪い。関東近郊で農業を営む30代男性は「中国産は世界的に評判が悪い」と言う。
「先日、うちの畑にEU圏からの視察団が来たんですが、中国産の農産物の話になった途端『安くても買っちゃダメ!』って言い出して、“チャイナクオリティ”“チャイナリスク”ってワールドワイドなんだなあと痛感しました。スーパーの青果コーナーでも中国産だった廉価な野菜が、スペイン産にんにくやニュージーランド産の玉ねぎやにんじん、オマーン産のいんげんに切り替わるなど、脱中国シフトが進んでいます」
どこで行われようと偽装は偽装。偽装に貴賎なし……ではあるが、国内や欧米における食品偽装はそのほとんどがブランド偽装や、表示とは異なる食品素材の転用だ。一方、中国から聞こえてくるのは、“安全”や“健康”に関わりかねない偽装話。その間に流れる川は深くて暗い。
<取材・文/松浦達也>
来日したEU農業視察団の脱中国宣言
『中国「猛毒食品」に殺される』 脅かされる食の安全! |
ハッシュタグ