一棟買いもポン!? 台湾の投資家が「東京の不動産」に注目する理由

東京

photo by Nalilord(CC BY-SA 3.0)

 アメリカの不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサールの「世界主要都市調査(2014年・第1四半期)」によれば、いまや東京はニューヨークやロンドンを抑えて世界一の不動産市場になっているという。  そんな中、アジアの投資家からも東京の不動産市場は注目の的になっている。  特に、台湾や中国の投資家の視線が熱い。  中国本土に牽引され経済が急成長する台湾国内の不動産価格は、東京23区の人気エリアと引けを取らない価格に高騰している一方で、平均的な利回りは1.5%にとどまっている。そんな中、東京オリンピックを控えて利回りが期待される東京の不動産市場は魅力的なのである。  台湾最大の投資・金融情報サイト「台湾cnYES」を運営する鉅亨網のCEO、ディアオ・ホン・チー氏は語る。 「2014年の台湾からの日本不動産投資は、商業ビル1棟買いや、個人投資家による投資、香港の事業者などを経由した投資などを総合して約540億円ほどといわれています。2015年にはさらに伸びるであろうことが予想されています。その背景にあるのは、ここ最近の円安、2020年東京オリンピックに向けた日本国内の地価高騰が予想されることなどの投資効率的な側面に加えて、台湾人の持つ親日志向などの要因が挙げられます」  海外投資家向け日本国内投資情報サービス提供会社「世界」が台湾人投資家30人を対象に行なったアンケート調査を見ても、83%の投資家が今後日本の不動産を投資対象として考えていると回答したことや、37%の投資家が「日本が好きなので将来的に住みたい」と回答している。  同アンケートでは、人気の地域としてはやはり東京が圧倒的に強いが、ここ最近東京で収益率が高い物件が減っていることを受けて収益率が依然として高い大阪、福岡も人気が上昇している。また、購入対象としては区分マンションの人気が高いが、半数以上が区分マンションと一棟アパート、区分マンションと一棟ビルなど複数の物件の購入を希望していることもわかる。
小林一弘社長、ディアオ・ホン・チー氏

株式会社世界の小林一弘社長(左)と鉅亨網のCEO、ディアオ・ホン・チー氏

 そんな中、同社は台湾人投資家に向けて不動産購入ツアーなどを行っている。 「物件視察のツアーは、購入意欲の高い方が参加されます。また実際に物件を見たあとに、ツアーに不動産会社を組み込んでいることもあり、成約率は非常に高いものになります」(世界CEO・小林一弘氏)  中には、友人同士で参加した投資家が購入を決めた友人に触発されて数千万規模の物件を即決するなどということもあるという。  こうした背景を受けて、世界は前出の鉅亨網との業務提携を決定。cnYESへの国内の物件情報掲載、セミナー企画実施などにおける総代理店契約を結んだ。この提携で台湾投資家のニーズに合わせた日本国内の物件情報を効率的に流通させ、更なる投資を促進し、。2017年の流通物件総額100億円を目指すという。 <取材・文/HBO取材班>
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