個人投資家たちは、NISA口座をどう利用しようとしているのか?
2014.09.03
少額投資非課税制度、通称NISA(ニーサ)。1月より導入され、“貯蓄から投資”の流れを作るキカッケになると期待されている。利益に対してかかる約20%の税金を0%にする一見お得な制度だが、導入半年で見えてきた新情報が多数。その全貌を明らかにする!
NISAの攻略法を熟知した名うての個人投資家たちは、NISA口座をどう利用しようと考えているのか?
「私は成長著しいベトナム株でNISA口座を運用する予定です。今は買い場を狙っているところですね」
と話すのは資産2億超えのバリュー株投資家www9945氏だ。
「NISAでは非課税になる期間が最長5年間、投資額は年間100万円までというしばりが難しい。この投資額では一つの銘柄に集中できないし、流れが読みづらい日本株で5年以内に確実に上がる銘柄を探すのは大変。アベノミクスの結果、株価が上昇しバリュー株が少ないとなおさらです」
そこで目を付けたのがベトナム。
「ベトナム株は非常に成長率が高い。’14年の実質GDPも5.8%で設定しているし、TPPへの参加が決まり、アメリカ向けの輸出が増えそう。最輸入国の中国との衝突リスクも回避するでしょう。また、もともと外国人投資家は保有比率を制限されていましたが、緩和されたのも追い風です。今年のベトナム株指数をみれば、日経平均よりパフォーマンスはいい。個別株なら種苗メーカーの『ナショナルシード』やコーヒーの『ビナカフェビエンホア』などを狙っています。これらの銘柄はすべてSBI証券で買えます」
確かに5年後ならベトナム株のほうが伸びしろがありそうだ。
一方、インデックス投資を中心とするスタイルの投資家、水瀬ケンイチ氏は「NISA口座では海外ETFの『世界経済インデックスファンド』であるVTを買う」と公言している。
「私個人としては長期投資のスタンスなので、自分の現状の資産配分などを考えて、VTで小中大型株の海外株全般に投資するのが一番いいのではないかと思っています」
そもそも個別株も取引していた水瀬氏がインデックスファンドに行きついたのは、個々の銘柄を追いかけていると生活が株中心になってしまうから。
「基本、私は伸びる個別株の銘柄や売買のタイミングなどは読めないと思っています。でも、株自体には期待している。だからこそのインデックスファンド。NISAは損益通算ができないなど、損をした人には厳しい制度。ならばリスクを抑える考えから入るのも手なんじゃないかと思います」
NISA口座を骨の髄まで活用したければ、先人に学ぶべし!
【www9945氏】
PER10倍以下の割安株を買うバリュー投資で、’13年に資産2億円超えを達成した個人投資家。株歴19年のベテランで、株主優待にも詳しい。今夏、いよいよ専業投資家に転身した
【水瀬ケンイチ氏】
ブログ『梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)』を運営。共著に『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』(朝日新聞出版刊)などがある
取材・文/中村裕一 上野智 イラスト/くみハイム
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