中国の加工食品市場でバター需要が増加。「下水油事件」の影響も
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<文/HBO取材班>
富士経済の中国現地法人である中聯富士経済咨詢有限公司は、拡大する食材・加工食品13分野72品目の中国国内市場を調査し、種類別/地域別/用途別/流通チャネル別/メーカー別など、動向を多面的に分析し、今後の予測をまとめた報告書「中国有望食材・加工食品市場の全貌2015」を発表した。
同調査によれば、中国の食材・加工食品市場は、中間所得者層の急増に伴う内需拡大によって成長が加速しており、嗜好の多様化により輸入や新商品開発が活発に行われているため、2015年は二桁成長が予測されるという。
分野別に注目される市場としては、年率2桁成長を続けている「茶系飲料」が挙げられている。2014年の見込みは1000億元(約1兆9000億円。前年比111.1%)で、2015年予測は1150億元(約2兆2000億円。前年比115.0%)と驚異的な伸びを見せている。特に“自然”や“健康”などを訴求した付加価値品が好調だという。ただ、市場を牽引しているのは香港や台湾のメーカーで、日本や欧米メーカーはシェアではまだ5%前後とここ十年間拡大していないという。
また、中国も食の欧米化が進んでおり、パンについても市場が拡大している。2014年見込みは211億元(約4000億円。前年比109.3%)で2015年には239億元(約4600億円。前年比113.3%)にも上ると見られている。現在、台湾、韓国、シンガポール、日本などの海外メーカーが相次いで参入しており、中国メーカーとの競合が激化している。種類別にみると、菓子パンが51%を占め、次ぐのが主食パンの30%、調理パンの10%という構成だという。
パン同様、食の欧米化でバターの需要も増加中だ。2014年の見込みは52億元(996億円。前年比120.9%)、2015年予測61億元(約1170億円。前年比117.3%)としている。洋風レストランやベーカリーショップ、機内食などの需要や一般家庭での消費が増えていること、またトランス脂肪酸の問題などが増加の主因となっており、加工用を中心に市場が拡大しているという。しかし、実は悪名高い下水油=“地溝油”事件によるマーガリンからの需要シフトもその需要増を隠れた要因となっているようだ。
中国は経済成長の鈍化、中国当局が言うところの「新常態(ニューノーマル)」という経済状況ではあるものの、内需の拡大によって食材・加工食品はまだまだ成長している。
都市部を中心にCVSや高級スーパー、ショッピングセンターなども急速に増えている。また、都市部では一人暮らしや核家族化が進んでおり、今後は個食対応や中食に対する需要が伸びると予想されるとしている。
参照:富士経済
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