本決算前に押さえておきたい[決算書]裏読みガイド
2015.03.11
決算発表は株価が大きく乱高下する相場の一大イベント。決算書をどう読み解き、投資に生かせばいいのだろうか? 2015年3月期の本決算が発表される4月までに、投資家が押さえておきたい裏読み術を専門家に聞いた。
「’13年のアベノミクス初期ではあらゆる銘柄が買われましたが、今は業績の良し悪しで厳しく選別される相場に変化しています。このため決算発表に対する反応も大きくなっており、個人投資家にとっても決算書の理解は必須スキルです」
そう語るのは、公認会計士兼FPの足立武志氏だ。
「といっても、四季報で確認できる程度の情報で十分。要は、決算書の内容から今の相場が重視する項目が何なのかを見極めることが重要です」
決算発表の日にリリースされる「決算短信」では、売上高や利益、損失の額や過去との比較をはじめ、将来の業績予想もチェックできる。こうした数字から、株価の割安度を示すPBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)を算出して割安な株を見つける、という方法が、決算書を使った投資法としては一般的である。
しかし最近では、どのぐらい効率的に利益を上げられたかを示すROE(自己資本利益率)がより重視される傾向にあるという。
「PERが低めでROE8%以上をキープしているのが理想です。ただしROEは自社株買いや借金をすることで意図的に数値を改善できるので、売り上げと利益が順調に伸びているかどうかもチェックしましょう」
具体的には証券会社のウェブサイトなどでPERが低い銘柄のランキングを見て、そこから業績の推移とROEをチェックしていくのがいいという。
「低PERランキング上位の銘柄には投資に適さないものも多いので、上位100社ぐらいから選ぶのがおすすめです」
企業の決算は四半期ごとに発表される。業績や指標で投資候補の銘柄を絞り込んでも、決算発表の時期が迫っているなら、買いはそれまで待つのが無難だ。
「決算発表時には、株価が個人には予測不可能な値動きをすることが多いからです。株価は数字の良し悪しよりも市場予想との比較で動くので、好決算でも機関投資家の期待以下だと急落したり、悪い決算でも心配したほどではない場合は上昇することもあります」
基本的に現在はトレンドを追いかけていく投資が成功しやすい相場だというが、さすがに決算発表で急騰した銘柄をジャンピングキャッチするのは高値掴みのリスクが高い。それよりも、決算発表前からゆるやかに上昇している銘柄で、決算が期待通りに良好で、上昇にやや弾みがつく程度の銘柄だと、引き続き安定した上昇を続けることが多い。
逆に、それなりに好決算なのに市場の期待に届かなかったために売られた銘柄にも、投資妙味はあるという。
「発表直後の株価は過剰に反応しがちですが、数日たつと落ち着いて値を戻すことがあり、そういうタイミングは狙い目。個人的には25日移動平均線を上回って株価が回復してきたら買いシグナルとしています」
⇒【後編】「東京ドーム(9681)の本決算が注目されるわけ」に続く https://hbol.jp/27791
【足立武志氏】
公認会計士、FP。資産運用に精通。著書に『株を買うなら最低限知っておきたいファンダメンタル投資の教科書』など
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増収増益が続く高ROE・低PER銘柄を
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