通貨安競争によって歪みが拡大。第二のスイスフランはあるか?
2015.03.04
スイス中銀が無制限介入を突然取りやめたことにより、勃発した「1.15スイスショック」。これを目の当たりにして閃いた人もいるはず。「ショックに先乗りすれば荒稼ぎできる!」と。その可能性を探ってみた
⇒【前編】
デンマークはユーロペッグ制。ECB(欧州中央銀行)は1月に金融緩和を実行したから、ペッグを維持するには金融政策の足並みを揃えないといけない。
「スイスはECBから事前に『金融緩和やるよ』と耳打ちされていたのでしょう。だから、1.2を無理して維持するより、いったん下げた水準で支えたほうが得だと判断したのだと思います。公言していなかったものの1.2の前には1.5の水準でもスイスは介入していましたから」(元ゴールドマン・サックスの志摩力男氏)
一方、粘ったのがデンマーク。1月から4度の利下げでECBに追随。政策金利はとうとうマイナス0.75%となった。
「デンマークは経済規模からいってもヘッジファンドの相手として『手ごろ』。デンマーク中銀は過去最大規模の自国通貨売り介入で、ヘッジファンドの買いに対抗していますが、外貨準備は過去最大に積み上がっています」(外為どっとコム総合研究所・調査部長の神田卓也氏)
外貨準備があまりに積み上がるとユーロペッグをあきらめて介入を放棄し、デンマーククローネが急騰する可能性がある。
「それを見越してユーロ/デンマーククローネを少額売っておくのは面白いかもしれません。ただ、扱っているFX会社が非常に少ないのがネックですね」(松崎氏)
日本で扱っているのはアヴァトレード・ジャパンやオアンダ ジャパン、IG証券などだ。
「もうひとつ『第二のスイス』になる可能性があるとしたら、米ドルペッグの香港ドル。1ドル=7.75~7.85香港ドルが許容変動幅ですが米ドル/香港ドルは2年以上、下限近くに張り付いたままです」(同)
⇒【グラフ】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=27093
ひとたび下限が破れれば、急落の気配が濃厚だ。
「ただ、香港の金融当局は『ドルペッグこそ生命線』と強く意識しています。アジア通貨危機や人民元切り上げがささやかれたとき、投機筋は香港ドルを狙いましたがいずれも失敗しました」(志摩氏)
本命=ユーロ/デンマーククローネ、大穴=米ドル/香港ドルで少額売っておくと、将来大化けしてくれるかも!? ちなみに、対抗を挙げるとすれば、ユーロ/ドルなんだとか。「ギリシャがユーロから離脱したら、ユーロ/ドルは0.9まで急落するという予想も出ている」(同)というのだ。この3つの通貨は要チェック!
【志摩力男氏】
元ファンドマネジャー。ゴールドマン・サックスなど大手金融機関で活躍。現在もファンド筋などとの交流は活発で鋭く世界を分析
【神田卓也氏】
外為どっとコム総合研究所。証券会社などを経て現職。個人向けのリポート執筆やセミナーを活発に行う(http://www.gaitamesk.com/)
【松崎美子氏】
為替ディーラー。スイス銀行などの外資系金融機関で活躍。現在はロンドンを拠点に投資(http://londonfx.blog102.fc2.com/)
マイナス金利で支えるデンマーククローネ
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