コロナ禍のなか伊勢丹が新宿に「新店舗」?! 新店舗のみならず「新宿」自体を作ろうとする伊勢丹、その理由とは?

不振の百貨店業界。三越伊勢丹の次の一手は……

 コロナ禍のなか、百貨店各社の業績が振るわない。  百貨店の雄・三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区)が1月27日に発表した2021年3月期第3四半期決算によると、売上高は前年同期比31.2%減の6024億3500万円(前年同期比31.2%減)、当期損失は347億5900万円(前期は78億6200万円の利益)に。昨年夏から今年春にかけて恵比寿三越(渋谷区)、三越馬事公苑店(世田谷区)、イセタンハウス(愛知県名古屋市)など、複数の中小店舗を閉店するに至っている。  そうしたなか、同社はある店舗の「新規出店」をおこなった。その店舗とは――。
恵比寿三越

閉店が続く三越伊勢丹。同社が新規出店した店舗とは…?(恵比寿三越(東京都渋谷区)、撮影:文鉄・お札とコインの資料館)

仮想・新宿伊勢丹、想像以上に「伊勢丹の分身」だった

 三越伊勢丹がコロナ禍のなか開業させた新店舗とは、仮想空間上の「VR伊勢丹新宿本店」だ。 この「仮想・新宿伊勢丹」は、三越伊勢丹グループが3月10日にリリースしたスマホアプリ「REV WORLDS」内にオープンしたもの。博報堂グループと共同で開発した自社プラットフォーム上に展開されており、ユーザーは3Dで再現された仮想・新宿伊勢丹でアバターを操作し、実際に買い物や催事を楽しむことができる。
伊勢丹新宿本店

ここちらは本物の「伊勢丹新宿本店」。1933年竣工、新宿東口のシンボル的存在だ。今回登場した新店舗はこの「分身」だという。

 仮想空間といえば、先日も大手旅行会社が作った「バーチャルツアー」が「あまりにクラシックだ」「1990年代のCGかと思った」として大きな話題になったばかり。しかし、仮想・新宿伊勢丹は「百貨店が作った3Dモデルなんて…」とあなどってはいけない。 アプリを起動させると最初に降り立つのは「伊勢丹」と書かれた停留所の前。その目の前にそびえる「仮想・新宿伊勢丹」の建物の再現度はかなりのもの。レトロな彫刻も再現されており、まさに「伊勢丹の分身」だ。
仮想・新宿伊勢丹

「REV WORLDS」上に出店した「仮想・新宿伊勢丹」。なかなかの再現度だ。

 アプリ上では自分の姿はアバターで表示されるため、もちろん「パジャマのままで伊勢丹入店」も可能。買い物には案内役として「サブアバター」と呼ばれる使い魔的存在の生き物が付いてくる。この使い魔――サブアバターとともに伊勢丹らしいエントランスをくぐれば、そこには「百貨店のなか」のような内装が再現されている。店内は実際の店舗よりも少し「近未来的」。ユーザーは実際の伊勢丹と同様にこの店内を歩いて回り、各ショップに行くと商品が表示される。気になる商品をクリックすれば詳細を見ることができ、「WEB」ボタンを押せば三越伊勢丹のオンラインショップに飛ぶ仕組みだ。  商品をすぐに購入せず「お気に入り」に登録してあとから買うことはもちろん、殆どの商品は伊勢丹の実店舗で販売されているため、仮想店舗で商品をチェックして実店舗で購入することもできる。
再現されたワインセラー

「デパ地下」部分に再現されたワインセラー。もちろんオンラインショップを通じて実際にワインを購入することも可能。試飲ができれば最高なのだが…。

 店内には伊勢丹らしいエレベータホールも再現されており、階の移動はこのエレベータを使う。4月時点ではアプリはβ版(試験運用)であるため、今のところ店内散策できるのは1階の化粧品・婦人服売場と地階の食品売場だけ、そのうち買い物が可能な売場は洋菓子など一部の食品と一部の婦人服、催事コーナーなどのみとなっている。店内には階段も設けられているため、今後店舗の拡張が行われれば他の移動手段を使うこともできるようになるのであろう。
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めざすは「仮想・新宿」づくり!?
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