4月12日。緩和スタート。超ビビりライフを送るわたしたちですら〝街〟へと出てしまう。まだ10℃を切る寒さだが通りはご同輩で賑わっている。テラス席に笑顔が並ぶ
【花冷え】というやつですね。遅咲きの牡丹桜、八重桜こそまだですが、街を歩けば結婚式の紙吹雪みたいに花びらの散る季節になりました。が、4月に入って急に冷え込みが……。4日の晩はロンドンでもマイナスを切り、翌日のTVニュースを見れば北の方のインタビュー画像背景は雪だったりで、なかなかの寒さです。先週Tシャツ一枚でふらふらしてたのが嘘みたい。この時期の英国の天気は先が読めません。
先が読めないといえばコロナも同じ。ワクチンの絨毯接種が成功して傍目には、少なくとも表面的には順風満帆な推移を示している昨今ですが、人々の気持ちが緩まぬように政府のキャンペーンが続いています。とはいえお調子者のジョンソン首相の様子からは隠しきれない浮かれポンチオーラが漂います。
そんなとき、4月5日の
高級紙ガーディアンに掲載された記事には、まさしく冷や水をぶっかけられた思いでした。それは容赦のない冷徹で詳細なパンデミック第3波の予想。曰く再度の新コロナ来襲は既定路線であり7月から8月にかけて大なり小なり〝必ずや〟やってくるとか。
おいおい、なんだよ。ワクチンは効いてるんじゃないのかよ! と思わずツッコミをいれました。しかし読めば非常に納得。人間食べ過ぎれば肥えるのと同じなんです。体にいいものをバランスよく適度にいただきちょっと運動する、ただそれだけなのに人はそれができません。石川や浜の真砂は 尽きるとも世にデブちんの種は尽きまじ。わたしも然り。
待ちに待った外食第一弾がチキンかつ丼にポッカの烏龍茶ってなんだそれ。だが存外悪くなくて「表で食べる」という行為そのものが主役なのだと知る。ツレはチキンカツカレー
集団感染のモデルケースをシミュレーションする政府の機構は4月12日からの第二次緩和を実行しても、それが致命的な第3の波を招く可能性は極めて低いと発表しています。
予定通り屋外での飲食(パブのテラス席やレストランのガーデンシートなど)を再開しても、全業種の小売店、図書館、ジムやプールなどの営業が始まっても、マスクをしてソーシャルディスタンスを意識していれば少なくとも医療崩壊に至ることはないだろうと。週に一度、甘いものを食べても時間帯に留意し、節制すれば太ることはない、というわけ。まあ、納得です。
しかしだからといってこのまま第三、第四の緩和に進めばパンデミック待ったなし! のようです。5月17日に解禁される「屋内でのおもてなし」と「海外でのホリデー」ですでに導火線に火が付き6月21日に元通りになった途端、感染者数、入院患者数、死亡者数のいずれもが跳ね上がり、グラフは萬丈の山を描くだろうという科学的予言。アンゴルモアの大王が復活しても驚きません。
このモデルケース『
科学的助言に関する国際ネットワーク Scientific Advisory Group for Emergencies(SAGE)』が制作。こちらのウエブサイトはこの連載を書く上でも非常にお世話になっているソース。ファクトチェックがしっかりしています。
ガーディアンの記事ではいくつかのシナリオをグラフにして見せていますが、いずれも発生時期は完全にオーバーラップしています。あとは規模。ほとんどが今年1月の規模より小さいと読んでいますが、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院はかなり悲観的。一日の死者が1500人を越す状況もあり得ると予想しました。
ちょっと! ワクチンはどうしたのよ? 効いてるんでしょっ! という声が聞こえてきます。はい、効いてますよ。英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が2000万回分のワクチン接種で79人に血栓が発生し、うち19人が亡くなったことを受けて30歳以下へのアストラゼネカ摂取を暫定的にストップしましたが100万人に1人の割合のために国が慎重になってしまうことの方がずっと怖いくらいは効果があります。
もちろん地球より重いのが人の命です。100万人に1人を軽視する気は全くありません。しかし厚生労働省所管の独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)によれば日本だけで毎年平均3人が市販薬の副作用が原因で亡くなっているのです(正直、予想より少なくて驚きました)。100万分の1になることを恐れていては一切の薬品は使用できなくなります。
ついでに申し上げると麻酔による死者は、これもまた日本だけで年平均10万人に1人。アストラゼネカの10分の1ですが、ワクチンを血栓発生リスクで否定する人は手術も拒否するんでしょうか。あるいは無麻酔で切開してもらうおつもりでしょうか。