リモートワークで新メンバーとの会話が噛み合わない ビジネスマンが知っておきたい「返答力の7話法」

相手の同意を確認しながら会話を進行

 詳細話法の一種だが、具体例を加えて詳細に返答するのが四つ目の「例示話法」、自分の経験を加えて返答するのが五つ目の「経験話法」だ。つけ加える内容が具体例だったり、自分の経験であるぶん、相手が説明した内容との乖離幅が大きくても、誘導できる可能性が高まる。  さらに話を展開するための返答話法が、六つ目の「示唆話法」だ。「仮にこういう状況だったら、○○ということも考えられますか」というように、ある仮定をおいて別の方向性の示唆をして、それに対して説明する人の同意、不同意を得る方法だ。  七つ目は、「転換話法」。たとえば、相手が「よい商品だが、価格が高い」というように説明した場合、前段と後段を転換して、「価格が高いけれども、よい商品だと思っていただいているのですね」というように、返答する方法だ。説明する人が同意してくれたら、商品のよさについて話を続けることができる。

7つの話法では誘導幅を確認できる

 かつて「Yes,But」話法が、返答話法として取り沙汰された時代があった。「はいそうですね(Yes)。しかし、○○だと思います(But)」というように、まずは相手の説明に理解を示したうえで、反論するという返答話法だ。しかしこの話法、Butの部分に入った途端に、意見の応酬に陥ってしまう。  その点、7つの返答話法は最初の2つは相手が説明した内容の範囲内で返答する方法で、その後の5つは知識を加えて詳細に返答したり、具体例や経験で返答したり、示唆や展開で返答していくという、徐々に誘導していく方法だ。  詳細、例示、経験、示唆、転換の返答内容に説明した人が違和感を覚えなければ、その方向で話を進めていければよいし、説明した人が抵抗感を示したら、意見の不一致があることがわかる。このように、彼我の差を確認していくことができる方法なのだ。新しいメンバーとの間でこそ、話を噛み合わせるために、活用したい方法だ。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第237回】 <取材・文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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