かつては夫と定住し、幸せな家庭を築いていたファーン。その生活に未練がないのはなぜか。同じ愛情のある生活を送ることはできないとわかっているからなのか、それとも車上生活の経験で定住ゆえの「しがらみ」が透けて見えてしまったからなのか。
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原作者のジェシカさんも気に入っているというラストシーン。実際にノマドライフを経験して、最後はファーンと同じような気持ちになったという。この映画は「ノマドライフ」を過剰に美化することも否定することもしていない。ただ、人生という「旅」の様子を淡々と描いているのだ。
「何が本当の幸せなのか」という問いを突き付けてくるこの作品。自分がラストシーンで何を思うのか、それが自分の幸福に対する考え方を試すリトマス試験紙と言っても過言ではないだろう。ぜひ、劇場に足を運ぶことをお勧めしたい。
<取材・文/熊野雅恵>
くまのまさえ ライター、クリエイターズサポート行政書士法務事務所・代表行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、自主映画の宣伝や書籍の企画にも関わる。