ついにNTT社長との会食を認めた武田総務大臣。自らのインタビュー記事でさらに追い込まれる
武田大臣のインタビュー記事の発言で浮き彫りになる問題点
山添拓(2問目):
「NTTによるドコモの完全子会社化を進めるTOB、株式公開買い付けの終盤の時期にあたりますけれども、進捗状況は挨拶程度の中でも話題になったんじゃないですか?」
武田良太総務大臣:
「あのー、本当に挨拶しかしていないような状況ですんで、全く個別の内容について他の方と喋ったことはありません。 (青信号)」
山添拓(3問目):
「(直前の質問者の)白議員も紹介されていましたが、大臣は昨年12月のダイヤモンドオンラインのインタビューで「自身が料金値下げに取り組む中では携帯事業者の人にむしろ会うべきではないと思いました」と述べています。会っていたんじゃありませんか。」
武田良太総務大臣:
「ダイヤモンド・・、週刊ダイヤモンドのインタビューにおいては料金引き下げの件について、ご挨拶に来られて以降、お会いしていないという主旨をお答えしたと記憶しております。(赤信号) 」
山添拓(4問目):
「いや、その他の人についても「携帯料金引き下げに関することでは一切会っていません」と述べているんです。しかし、実は11月に会われていたんですね。」
武田良太総務大臣:
「あの、値下げに関することでは会ってないって書いてるでしょう。(赤信号)」
インタビューでの自分の発言が首を絞める武田総務相
山添拓(5問目):
「いやだけど、「相手と会っちゃいかんのですよ」と、そう言われているんですよ。「情も芽生えるし、そこのところはフェアにやってます」と言ってるんですよ。フェアじゃないじゃないですか。」
武田良太総務大臣:
「あのー、私が、その会にNTTの澤田さんを呼んで下さいだとか、えー、そうしたことがあるなら話は別ですけども、私が別の目的、つまりJR葛西名誉会長の席にお邪魔した際に複数人の中に現場に行った時に居られたということです。私が会いたくて会ったとか、来てもらったとか、そんなんではなくて居られた。複数人の中のお一人で居られたということです。(赤信号)」
山添拓(6問目):
「いや、だから、たまたま居合わせたということなんでしょうけども、ご説明によればですね。しかし、(武田大臣自身がインタビューで)「会ってません」とおっしゃったんですよ。ここではね。携帯値下げを看板政策にする政権の総務大臣が値下げと一体のTOBの最中、渦中のNTT社長、NTTドコモ取締役と同席し、会食をすると。やっぱり、それ自体が疑念を招くと思われませんか?」
武田良太総務大臣:
「あのー、我々政治家は様々な経済人の方々と交流を持ちながら政策を練っていかなくてはならないんですね。そうした機会の中に澤田さんが居られたということで国民から疑われるような話なんか全くするつもりもないし、してません。(青信号)」
山添拓:
「澤田社長も先日、この委員会で疑念あるいは疑いと言われるような印象を与えたと述べられました。やはり、すでに疑念だらけだと思うんですね。」
質疑は以上である。
武田大臣の答弁は大半が論点のすり替えであり、赤信号とした。
3問目、4問目
【質問】携帯事業者と会ったか
↓ すり替え
【回答】携帯事業者と値下げに関して会ったか
5問目
【質問】NTT社長と会うこと自体の問題性
↓ すり替え
【回答】NTT社長を自ら呼んだか
これらの論点すり替えによる主張は、武田大臣自身のインタビュー記事の発言によって、ことごとく矛盾を指摘されるという皮肉な結果になっている。
また、2問目(会食時にTOBの話題になったか)と6問目(TOBの最中、利害関係者と会食すること自体が疑念を招くのでは)は質問と対応する内容が述べられており青信号とした。いずれも疑いを否定する内容を答弁しているが、事実かどうかは非常に疑わしい。
<文・図版作成/犬飼淳>
TwitterID/@jun21101016
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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